この記事は2023年11月13日に掲載された情報となります。
2018年にオホーツク管内の若手JA職員がチームを結成し、企画した「ソイミルクハンドクリーム」。発売以来、クチコミを中心に好評ですが、より使いやすいチューブタイプにリニューアルされました。これまでの過程と道産素材が持つ可能性について、株式会社クロワール代表取締役の沖中さんにお聞きしました。
株式会社Croire(クロワール)
代表取締役 沖中 郁美さん
2008年株式会社Croire設立。
自社ブランドのコスメの製造・販売で培った知識と
ネットワークを生かしたOEM事業が成長。
現在はさまざまな企業・自治体からの依頼を受け、
素材を生かしたコスメの企画・製造に取り組んでいます。
多くの人の協力で誕生
オホーツク管内の14JAが協力し設立された道内最大級の豆類調製施設「オホーツクビーンズファクトリー」。設立にあたり、規格外の大豆を使った豆の新しい可能性を模索。若手JA職員を中心に議論を重ね、誕生したのが「ソイミルクハンドクリーム」です。
「当初はフリーズドライなど新しい機能性食品の開発も考慮しましたが、大豆の保湿効果に注目。ちょっとしたお土産にもなる手に取りやすさやコストを考慮して、ハンドクリームの商品化を進めることになりました」という沖中さん。商品開発を進める中でこだわったのが乳酸発酵です。
「保湿効果を出すため多くのハンドクリームはオイルを入れます。しかし、オイルはべたつきの原因になってしまいます。ソイミルクハンドクリームはさらっとした使い心地を実現するため、オイルを最小限の量にしています。また、大豆を乳酸発酵させることでアミノ酸の数値を上げ、保湿効果を出しています」
大豆の乳酸発酵は東京農業大学オホーツクキャンパスが協力。乳酸菌を使うこともあり通常なら製造工場が見つからないところ、オホーツク農協連が工場を確保するなど、多くの人の協力で完成しました。
「当初はJA女性部の講習会で販売。皆さんから支持を得て、リピートしていただける方も多くいらっしゃいました。保湿効果がありながら、さらっとした使い心地が好評です」
チューブで使いやすさアップ
今回のリニューアルではパッケージを変更。これまでのジャータイプ(広口の平らな容器)からチューブになりました。このリニューアルを主導したのは若手JA職員とホクレン職員によるチーム。消費者アンケートを元にリニューアル案をつくり、沖中さんが形にしました。
「チューブにしたことで使いやすさがアップしました。バックに入れやすく、片手で使えて衛生的。販路も拡大しているようです。チューブのデザインは大豆の葉っぱがモチーフ。高級感があり、お土産にもぴったりな商品になったと思います」
道産素材の価値を高める
多くの道産素材を使ったコスメの企画・製造を手掛ける沖中さんは食以外の分野でも、道産品は成長できるといいます。
「ナチュラル志向の消費者が増えている今、安全安心という道産品のブランド力はコスメにおいても大きいです。大豆ならば遺伝子組み換えをしていないといったことも消費者にとっては安心につながっています。もちろん、私たちもその安心感を壊すことがないよう、無添加で素材本来の力を引き出すよう心掛けています」
現在、白花豆を使った新たな商品開発も進み、今後も道産素材を使ったコスメの世界は広がりそうです。
「オホーツクの大豆は激しい寒暖差により、イソフラボン含有量が多くコスメの原料に適しています。ソイミルクハンドクリームは、オホーツク産大豆の良さを伝えたいという情熱から生まれました。地元の農産物に対する情熱に応えるためにも、当社はコスメを通じて道産素材の価値を高めていきたいと思います」