この記事は2020年2月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 畜産生産部 自給飼料課
POINT
❶飼料用とうもろこし「ミリアーノ」は、多収で病害抵抗性に優れた90日クラスの新品種です。
❷大麦「CDCコアリション」とえん麦「スワン」は同伴栽培に適した品種です。
良質な自給飼料生産に求められる高い収量性と栄養価を確保するには、適切な品種選定が欠かせません。飼料用とうもろこしで注目される新品種と、草地更新時、牧草との同伴栽培に適した飼料用麦類をご紹介します。
飼料用とうもろこし「ミリアーノ」
「ミリアーノ」は、KWS社(ドイツ)が育成した熟期が90日クラスの飼料用とうもろこし品種(写真1、2)で、多収かつ各種の病害抵抗性に優れています。
飼料用とうもろこしでは、すす紋病、ごま葉枯病、根腐病などが重要な病害です(写真3)。特に2019年は、全道的にすす紋病が発生し、ここ数年の中でも多い発生状況となりました。
「ミリアーノ」は、すす紋病抵抗性に優れる既存の90日クラス「セバスト」並みの抵抗性を持ち、ごま葉枯病抵抗性は「セバスト」よりも優れています。また、根腐病については発症がほとんどなく、抵抗性が強いと考えられます。
収量性は「セバスト」対比で約11%多収となっています(図1)。
雌穂のサイズは「セバスト」並みで揃い性がやや優れ、先端稔実性も優れています。耐倒伏性は「セバスト」並みです。なお、「ミリアーノ」は雑草防除において、ワンホープ乳剤では生育が抑制される恐れがあるので、ほかの除草剤をご使用ください。
同伴栽培に適する大麦「CDCコアリション」、えん麦「スワン」
同伴栽培とは、前号(アグリポート22号)でも紹介していますが、春更新(播種)する際に、牧草と麦類を同時に播種する栽培方法です。播種時期は4月下旬〜5月下旬で、60〜70日の生育期間を目安に7月中〜下旬に収穫します(図2)。
麦類を合わせて収穫することで当年の粗飼料不足を補え、初期生育が牧草より早いので雑草の繁茂を抑えることができます。春更新することで、夏更新での播種遅れによる冬枯れなどのリスク分散も可能になります。
飼料用麦類の大麦「CDCコアリション」(写真4)、えん麦「スワン」(写真5)は、どちらも初期生育が良好で、草丈はやや低く、同一種のほかの品種よりも耐倒伏性に優れています。
倒伏により牧草が蒸れて消失してしまうリスクも低く、同伴栽培に適した品種です。なお、麦類(えん麦を除く)は脱粒や赤カビ病発生※などのリスクがあるので、刈り遅れしないよう留意してください。
※7月に降雨が多く、多湿な地域においては特に大麦で発生するリスクが高まります。
各品種や同伴栽培についての詳細は、ホクレン各支所畜産生産課・酪農畜産課にお問い合わせください。