畑の除草に大きな威力を発揮するカルチベーター。効果的に使えていますか?雑草の発生を大きく減らすカルチがけの極意を、販売会社とメーカーの方に詳しく教えてもらいました。
この記事は2021年12月1日に掲載された情報となります。
日農機株式会社
坂野 貴光さん
日農機株式会社
石田 勝郎さん
日農機製工株式会社
大嶌 良寛さん
カルチベーターは一台二役
通称カルチと呼ばれるカルチベーターは、豆類、てん菜、馬鈴しょなどの畑作物を中心に野菜栽培にも使われている作業機で、「中耕」と「除草」の二つの機能を兼ね備えています。中耕とは畝間の土を耕し、土を軟らかくほぐして新鮮な空気や水分の透過性を良くする作業のこと。地温が上昇し、排水性、保水性が高まるため、作物の根がよく伸び、成長を促します。同時に雑草の根を切ることで除草の効果もあります。ヨーロッパでは中耕がメインの機械ですが、高温多湿で雑草がはびこりやすい日本では除草の機能も重視されるようになりました。
カルチは横1本のフレームにビームと呼ばれるパーツがついていて、4条播種の畑に5本のビームで畝間に爪を通す構造になっています。最近は4条の往復8条分をカバーする9本ビームや、海外製の6条播種機にあわせ7本のビームを持つ機種も登場しています。
畝幅は60〜75センチが多いので、作物にあわせてビームをずらして使います。使用するのは作物の芽が出揃った後。カルチの爪で畝間の土を砕き、雑草を引きずり出して天日で枯らします。作物が大きく育ち葉で畝間がふさがるようになると、日光が届かず雑草が出づらくなるので、それまでの間、1週間から10日おきにカルチがけをすると除草効果が高まります。
上手にカルチを使いましょう!
カルチで取り切れなかった草は、一つずつ手で取っていくしかありません。なので大切なのは、雑草が小さいうちにカルチをかけること。ただしカルチは作物の根を傷つけてしまう恐れもあります。作物の成長には遅れが出ず、雑草はしっかり退治できるよう慎重に使わなければなりません。
圃場を蛇行せずに真っすぐ走るのは難しいため、これまでカルチがけのよしあしはトラクターの運転技術に左右される面がありましたが、近年は自動操舵システムの普及で経験の浅い人でもカルチ作業がしやすくなりました。
上手にカルチを使えば除草剤を減らし、収量を増やすことも可能です。どのような気象条件にも対応できるよう除草剤とカルチを組み合わせて、来シーズンの除草に取り組んでみましょう。
上手なカルチがけのポイント
草が小さいうちが勝負
見た目には草の生えていない圃場でもカルチをかけると雑草の根っこがたくさん出てきます。大切なのは、雑草の芽が出るか出ないかのタイミングで早めにカルチを入れること。草が大きく育ってしまうと、カルチの爪で引きずり出せなくなってしまいます。
最初のカルチがけが肝心
一度カルチをかけると2回目以降は爪が同じところをなぞろうとします。なので最初に中心がずれると、ずっとずれたまま。1回目のカルチがけは確実にセンターを捉えるよう、ゆっくり丁寧に走らせましょう。筋がつけば2回目以降はある程度スピードを出しても大丈夫です。
作業は晴天の午前中に
カルチは土の中から雑草を引きずり出し日光に当てて枯らすので、天気の良い日の午前中に作業するのがベスト。太陽の光にさらされて雑草が枯死するからです。夕方近くに作業すると、せっかく引きずり出した草が夜露に当たって復活してしまうこともあります。