❹【さつまいも】

焼き芋からスイーツまで 注目を集める道産さつまいも

キーワード:さつまいもべにはるか

焼き芋からスイーツまで 注目を集める道産さつまいも

この記事は2023年10月1日に掲載された情報となります。

株式会社せき 取締役 生産本部長 荒木 貴裕さん

株式会社せき
取締役 生産本部長 荒木 貴裕さん

 株式会社せき 北海道事業所長 奈良 政俊さん

株式会社せき
北海道事業所長 奈良 政俊さん

 

焼き芋機を導入するスーパーが増えるなど、さつまいもブームはとどまるところを知りません。茨城県で食品加工を行う株式会社せきの荒木さんと奈良さんに、道産さつまいもへの期待をお聞きました。

さつまいもが人気の理由

さつまいもの大産地、茨城県ひたちなか市に本社を置く株式会社せきは、野菜の加工を行う会社です。さつまいもはカットやペーストなどに加工して食品メーカーに供給。それとは別に自社で北海道向けに干し芋製造を手掛け、道内の大手スーパーへ出荷しています。

「原料のさつまいもは茨城県産が9割。残り1割が北海道産の品種“べにはるか”です。北海道産と表示することで消費者の購買意欲が高まるブランド力があり、今後の可能性を感じています」

こう教えてくれたのは、取締役の荒木貴裕さん。

「北海道産に多い“べにはるか”はねっとりした肉質で、加熱することで甘さが冴える品種です。品種改良により、ねっとり甘いさつまいもが増えています。当社では、さつまいもといえば天ぷら用の加工が多くを占めていましたが、最近は甘い品種のさつまいもが増え、干し芋や焼き芋、スイーツに使うペーストなどさまざまな加工をしています。

需要の増加に供給が追いつかない時期もありました。今は落ち着いているものの、気候変動や病害虫により収穫量が落ちれば需要に応えることはできません。それだけに北海道でのさつまいも生産は当社にとって頼もしい存在です」

さつまいものカット加工
さつまいものカット加工

キュアリング施設の充実を

干し芋や焼き芋に加工する場合は、収穫したさつまいもをキュアリングし、一定期間貯蔵して甘さを引き出してから加工します。
キュアリングとは、高温多湿の環境で 3日間以上、密閉する処理のこと。でん粉を皮の近くに集めて硬化させ、収穫時についた傷口をふさぐことで、病原菌から守り、腐りにくくします。

同社ではキュアリング後、低温倉庫に長期保管し、年明け1月から焼き芋や干し芋の製造をスタート。6月までの間に、1年分の製品を作るそうです。

「収穫して間もないうちは、でん粉が糖化されていないので、水分が多くて味が薄い。馬鈴しょでいえば新じゃがと同じ。少し寝かせたほうが、味に深みが出ておいしくなります。最近は北海道でも府県産と引けをとらない品質のものが穫れるようになってきましたが、まだキュアリング施設が不足しています。現状は長期保管ができず、短期で販売されてしまっている。北海道産さつまいもの品質を向上させるために、キュアリング施設の充実は欠かせません」と荒木さん。

また、栽培日数が短い北海道は府県産と比べるとA品質(形がそろっているもの)が少ないのも課題だといいます。

「完熟しないうちに収穫するので、でん粉が乗らず、品質にばらつきが見られます」と北海道事業所長の奈良政俊さん。ただし、この点については、経験を重ね、栽培技術が確立されれば解消されていくものと考えています。

スイーツの分野での成長

「北海道は畑1枚の面積が非常に大きいので、今後、機械化されれば大量生産も可能になるはず」と、荒木さんは将来性についても言及します。

「さつまいもとかぼちゃはスイーツにもアレンジできる作物。天然の甘さで老若男女問わず人気が高まっています。スイートポテトやプリン、クッキーなど、お菓子やデザート分野でのさつまいもの需要は、まだまだ伸びるでしょう」

同社の主力商品である冷凍焼き芋もその一つ。

「今まで焼き芋は、ほかほかで温かいのが当たり前でしたが、冷たい焼き芋もデザート感覚で意外においしいんですよ」と、自信をのぞかせます。奈良さんによると、昨年からはタイやベトナムへの輸出にも挑戦しているそうです。

北海道産のさつまいもを北海道の加工技術で新しいスイーツに仕上げる、そんな日が近いかもしれません。

輸出用冷凍焼き芋商品
輸出用冷凍焼き芋商品