西山製麺株式会社 ラーメンの麺

道産小麦で作った麺を海外のラーメンファンへ

道産小麦で作った麺を海外のラーメンファンへ

札幌ラーメンといえば、黄色い縮れ麺。これは西山製麺株式会社が65年以上前に、独自の製法で開発したもの。道産小麦を使った麺づくりに早くから取り組んでいる同社に、積極的な海外展開についてお聞きしました。

この記事は2021年10月1日に掲載された情報となります。

西山製麺株式会社
代表取締役社長 西山 隆司さん

Profile:1958年、札幌市生まれ。中央大学商学部卒業。大手ファミリーレストランを経て、1983年西山製麺株式会社入社。2001年から現職。ラーメン店主らとの「対話しながらのおいしさづくり」がモットー。

サッポロ西山ラーメン

サッポロ西山ラーメン

’80年代から道産小麦を使用

西山製麺株式会社(北海道札幌市本社)の創業は1953年。戦後、札幌中心部に並んだラーメン屋台の中でも、繁盛店として知られた「だるま軒」で製麺技術を学んだ西山孝之氏が独立し、起業しました。

主力商品はもちろんラーメン用の麺で、札幌市の多くのラーメン店に利用されています。道内の製粉会社がブレンドした「西山」専用の小麦粉を原料に300種以上を製造しています。

道産小麦を使った麺づくりは、うどん用の「チホクコムギ」が登場した1980年代初期から。「この品種はタンパク分が少なく、アシ(麺の「のび」のこと)コシを強くするために苦労しました」と西山社長。その後、次々に生まれた新品種に対するラーメン店の評価が高かったことから、道産小麦の加工技術の研究を加速化。現在は、製品の約2割に道産小麦の「きたほなみ」、「ゆめちから」、「春よ恋」を使用しています。

「道産小麦は、性能はいいけれど、乗りこなすにはプロの技術が必要なスポーツカーと同じ。生産者と私たちとの連携が大切です」。そう語る西山社長は、定期的に道内各地の生産者と会い、道産小麦の使い勝手に関する意見交換も行っているそうです。

小麦サイロ

西山製麺株式会社 製麺過程
道産小麦は、かむほど味や香りが出やすいことから、麺類は太めに、餃子などの皮は厚くしてかむ回数を増やし、その特長を引き出せるように職人の手で調整しています。海外向けは、あっさりしたスープに合うストレート麺、サラダとの相性も良いつけ麺用の麺、札幌ラーメン向けの中太・縮れ麺などを輸出しています。

32の国と地域に約20種類を輸出

同社の海外展開は1985年頃、ハワイで開催された北海道物産展で札幌ラーメンを提供したことから始まりました。アメリカ、ヨーロッパなどの32の国と地域へ、道産小麦が原料の製品も含めた約20種類を輸出しています。

「製品は自社工場で作ったものを冷凍し、石狩港から船便で送っています。工場誘致の話があり、海外で試作もしましたが、水の違いなのか、うまくいきませんでした。納得のいくおいしさを再現できない限り、海外では製品を作りません」

札幌に生まれ、世界で愛されている札幌ラーメン。「北海道という土地、気候、風土をラーメンに更に吹き込んでいきたい」と西山社長は目標を語ります。「北海道は、アジアの農業の先端を走っています。また、北海道の知名度やブランド力は追い風となって、今後も吹き続けるはずです。生産者の皆さん、苦労は必ず報われます。お互いに汗を流して、いい小麦、いい麺を作りましょう」。今後も、同社では道産小麦のおいしさを麺に代え、世界に発信していきます。

西山製麺株式会社
「GREEN WEB」に西山製麺株式会社の取り組み記事が掲載されています。こちらも合わせてご覧ください。
https://www.hokuren.or.jp/_greenweb_/?post_type=distribution_table&p=6777