牛の個体管理作業を簡易化するスマート農業実証への取り組み

キーワード:5Gスマート農業
実証を行っているホクレン訓子府実証農場の牛舎
写真1.実証を行っているホクレン訓子府実証農場の牛舎

5Gの活用で、牛の跛行検知や個体位置把握、遠隔診療・指導を可能に

この記事は2022年8月1日に掲載された情報となります。

畜産スマート農業実証コンソーシアム
(代表機関:株式会社NTTデータ経営研究所)

2021年10月より、ホクレン訓子府実証農場で、高速大容量、低遅延など最新の通信規格、5Gを使ったスマート農業の実証を行っています※。

本実証では、フリーストール牛舎にローカル5G基地局を設置し、4‌Kカメラや3‌Dカメラなどで撮影した画像データをローカル5G通信を活用して分析することで、乳牛の跛行検知、個体識別、位置検索のシステム化を図ったり、スマートグラスの映像活用による遠隔診療・指導技術の確立で、酪農従事者の個体管理に係る労務時間の削減や、病気の早期発見と重症化防止につなげることを目的としています。

※本実証は、総務省の2021年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」および農林水産省の2021年度「スマート農業実証プロジェクト(ローカル5G)」の採択を受け、取り組んでいる事業です。

跛行の早期検知が可能になります

4‌Kカメラ・3‌Dカメラの画像から牛の歩幅、頭の位置等の特徴をA‌I解析することで、目視では検知できない初期の跛行を検知できます(図1)。早期に治療を行うことで、蹄病(ていびょう)悪化による乳量低下を防ぐ効果が期待できます。

AI解析による跛行検知のイメージ
図1.AI解析による跛行検知のイメージ

本実証では、一定の精度で跛行の検知が可能であることが確認され、更なる精度向上に努めています。

牛の位置がシステムで把握可能になります

4‌Kカメラ等の画像を解析して牛の個体識別を行い、その動線を自動で追跡することで、それぞれの牛の位置情報をリアルタイムで監視できるようになります。牛の位置は、モバイル端末を通じてどこからでも確認できます(図2)。本システムの活用で、約25秒で目的とする牛の発見に成功しており、個体の位置把握に係る時間の削減が期待できます。

AI解析による位置探索のイメージ
図2.AI解析による位置探索のイメージ

遠隔診療・指導が受けられるようになります

スマートグラス・4‌Kカメラによる映像伝送・音声通話の活用で、対面と同等レベルでの遠隔診療・指導の実現が期待されます(図3)。往来を待たずに迅速な診療・指導相談ができるため、細やかな健康管理や健康状態の向上に伴う搾乳量の増加が見込まれます。

遠隔診療・指導のイメージ
図3.遠隔診療・指導のイメージ

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株式会社NTTデータ経営研究所 社会システムデザインユニット 訓子府L5G実証事務局
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