2021年産1番草(生草)の特徴と自給飼料の上手な使い方

キーワード:自給飼料

2021年産の1番草は消化性に優れ、牛がよく食べると想定されます。生乳生産を安定させるためにも、この時期に牧草とデントコーンの在庫を再確認し、1年間の給与戦略を立てることが大切です。

この記事は2021年12月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 畜産生産部 生産技術課

今年の1番草の特徴

①収穫時期

ホクレンくみあい飼料・粗飼料分析センターには、収穫時期になると全道から1番草だけで1000点前後の生草の分析サンプルが届きます。サンプルは収穫直後に採取し、その日のうちに分析センターに送られるケースがほとんどです。サンプルが届く時期とサンプル数の推移でその年の収穫状況がおおむね把握できます。

図1は、過去3年のサンプル数を期間ごとに集計したものです。今年は5月下旬にまとまった雨が降った後、安定した天候が続きました。6月に入るとオーチャードグラス、続いてチモシーの収穫が順調に進み、サンプル数も増加しました。昨年に比べ、7月に入ってからのサンプル数が非常に少なかったことから、多くの方が適期に1番草の収穫を終えることができたことが想定されます。

収穫時期ごとの分析サンプル数
図1.収穫時期ごとの分析サンプル数

②成分値

表1に2019〜2021年の1番草(生草)の分析値を示しました。この中で注目したいのがO‌b、NDF、ADLなど、繊維に関わる指標です。2021年産のO‌b、NDF、ADLは3年間で最も低くなっています。次に、図2は収穫時期と分析値の関係です。NDFは過去2年とほぼ同様に収穫時期が遅くなると高くなっています。

1番草(生草)の各成分の平均値
表1.1番草(生草)の各成分の平均値
NDF(左)と消化できないADL(右)の推移
図2.NDF(左)と消化できないADL(右)の推移

方で、消化できない繊維の指標のADLは増加スピードが緩やかです。つまり、繊維の量は収穫日が遅くなるにつれて増加していますが、その中の消化できない部分の増加は緩やかであったということです。そのため、2021年産の1番草は消化性が良く、牛が食い込む草と想定されます。実際、2021年産の1番草の給与も始まっており、その分析値を見ると、48hNDF消化率が平均60%を超え、過去2年より高い傾向となっています(図3)。

1番サイレージのNDF消化率(サンプル数:2019年4,136点、2020年4,413点、2021年460点)
図3. 1番サイレージのNDF消化率(サンプル数:2019年4,136点、2020年4,413点、2021年460点)

粗飼料の上手な使い方

牛がよく食べる消化性の良い粗飼料を上手に使うと、購入飼料を減らすことができます。ポイントは「粗飼料の食い込みを邪魔しないように、中間飼料(ビートパルプ、ルーサンペレットなど)を減らす」です。牛の胃袋(ルーメン)の大きさは決まっているので、粗飼料を多く食べるためには他の飼料を減らしてスペースを空ける必要があります。

一方で、乳牛の健康や生産性を維持するために必要な栄養充足も両立させなければなりません。そのため、ビートパルプなどの中間飼料を減らして、粗飼料を最大限に食べられる状態を作りつつ、適量の濃厚飼料で栄養も充足させます。これで購入飼料も減らせるため、コスト削減にもつながります。

消化性が異なる粗飼料による飼料割合の変化
図4. 消化性が異なる粗飼料による飼料割合の変化 ※ルーメン内のpHが低下した状態。さまざまな疾病につながる恐れがある。

粗飼料在庫の確認を

今年は牛がよく食べる1番草を確保できた方が多いと思います。

方、7月以降の干ばつにより、2番草やデントコーンの生産量が大きく低下している地域もあります。そのため、地域によって粗飼料の在庫状況がさまざまであることが想定されます。安定した生乳生産のためにも、この時期に粗飼料在庫を再確認することをお勧めします。

なお、粗飼料の給与戦略を立てるためには粗飼料分析や飼料設計が必要な場面があると思いますので、その際はぜひホクレン各支所の酪農畜産課、畜産生産課にお声掛けください。