分かりやすい冊子やリーフレットを活用した酪農技術の普及

カテゴリー:生産振興
実施年度:2016~2018年度
実施:稚内支所営農支援室
対象JA:管内全5JA
協力関係機関:道総研 酪農試験場天北支場、宗谷地区農協生産事業専門委員会※

※管内各JA、中央会旭川支所稚内連絡事務所、宗谷総合振興局、宗谷農業改良普及センター、ホクレン稚内支所で構成。

POINT
●酪農の基本技術を「技術情報誌」と「リーフレット」を用いて宗谷管内全体へ普及

この記事は2021年4月1日に掲載された情報となります。

基本技術を地区全体へ

地域が体となって酪農を発展させるには、次世代の酪農経営を担う担い手や営農指導を行うJA担当者が基本的な技術を習得・実践する必要があります。

稚内支所営農支援室は、酪農経営に必要な基礎知識の技術を生産者に広く普及する方法について宗谷地区農協生産事業専門委員会で検討してきました。

分かりやすさを重視した「技術情報誌」とそれに合わせた講習会開催

そこで、酪農経営の基本的な技術習得と地区全体への普及を目指し、2016〜2018年度の3年間にわたり、特に重要なテーマについて「技術情報誌」や「リーフレット」を作成し、JAを通じ宗谷地区の生産者全戸へ配布することとしました(表1、図1・2)。

各年度に発行した技術情報誌テーマ
表1.各年度に発行した技術情報誌テーマ
分かりやすくしたポイントの一例(「育成牛を健康に」より一部抜粋)
図1.分かりやすくしたポイントの一例(「育成牛を健康に」より一部抜粋)
「育成牛を健康に」より一部抜粋
図2.「育成牛を健康に」より一部抜粋

2016年度は「周産期管理」についての冊子と「植生改善」のポイントが目で分かるようなリーフレット(図3)、2017年度は「繁殖成績改善」と「育成牛管理」をそれぞれテーマとした冊子を配布しました。

植生改善(リーフレットおもて面)
図3.植生改善(リーフレットおもて面)

そして、2018年度は特に飼養管理における重要な4項目(乾乳・蹄病・乳牛トラブル・哺育)に絞った冊子「飼養管理向上をめざして」を作成しました。

また、これらの技術情報誌の効果的な普及を図るため、内容に基づいた生産者向けの講習会を合わせて開催しました(写真1)。

講習会の様子(豊富町)
写真1.講習会の様子(豊富町)

講習会は、2016〜2019年度までに計6回開催し、延べ140名(関係機関等含む)が参加。アンケートには、技術情報誌について、「内容が分かりやすかった」と好意的な意見が多く、講習会についても、「次回も参加したい」という意見が多く寄せられました(図4・5)。

アンケート結果(回答数:32名)
図4.アンケート結果(回答数:32名)(技術情報誌の内容について)
アンケート結果(回答数:32名)
図5.アンケート結果(回答数:32名)(次回講習会の参加について)

冊子の配布に加え、講習会では更にポイントを絞り丁寧に説明したことで、参加者の理解を深めることができました。

乳量増加の一助に

宗谷管内の乳検データに基づく搾乳牛1頭当たり乳量は、2016年度の9008kgから2019年度の9192kgと184kg増加し、地区においては、これら技術普及の取り組みが1頭当たり乳量増加の一助になったと考えています。

稚内支所営農支援室では、今後も宗谷地区の酪農家の生産性向上のため、さまざまな提案を行っていきます。