ホクレンくみあい飼料(株)枝肉勉強会 最優秀賞受賞者に聞く

マニュアル化しながらも細かな個体管理が重要です

キーワード:和牛枝肉枝肉勉強会飼料飼料管理
枝肉勉強会 最優秀賞JAおとふけ 山川 克之さん
令和7年度 ホクレンくみあい飼料株式会社 枝肉勉強会 最優秀賞
JAおとふけ 山川 克之さん(写真左)
従業員2名を含め、計3名で営農。黒毛和種を繁殖から肥育まで一貫生産しており、飼養頭数は120〜130頭。そのうち肥育牛が約50頭。 「繁殖は手がかかり、発情管理や子牛の体調管理など大変な面も多いです。うちはもともと繁殖農家で、私の代で肥育に挑戦しました。 苦しい時代もありましたが、諦めずに続けてきたことで、安定した肥育につながっていると思います」

 

この記事は2026年2月16日に掲載された情報となります。

 

2025年度の「ホクレンくみあい飼料株式会社枝肉勉強会」において最優秀賞を受賞した「姫福秋」。この「姫福秋」を出品したJAおとふけの山川さんに高品質な肉牛を肥育するための管理のポイントについてお聞きしました。

 

写真2.角を切らずに牛を育てている山川さん。
写真2.角を切らずに牛を育てている
肥育後期に牛の腹部にガスが溜まる「鼓脹症」になることがあるものの、角があると牛が横になった時に頭の位置が高くなるため、重症化する前に対処できるといいます。また、起立困難になった牛を起こす時にも角が役立ちます。ただし、角で牛同士が傷付け合うと肉質にも影響するため、牛同士の相性を見極めて配置しています。

 

地域で設計した飼料と徹底した個体管理

—配合飼料の設計について、特にこだわっている点はありますか?

私が所属する「音更町和牛生産改良組合肥育部会」では、20年ほど前まで生産者ごとに異なる配合飼料を使っていましたが、「同じブランドでも味が違う」という消費者の声があったことが分かり、解決に向け、「飼料の㆒本化」が始まりました。

まずはJAやホクレンの紹介を受けた専門家に指導いただき、味や風味の安定化を重視した飼料の体系を作りました。当時ほとんど知識がなく、会議に出席しながら学び、メンバーと意見を交わしつつ現在の配合に至っています(写真3)。

 

写真3.統一化された配合飼料
写真3.統一化された配合飼料

 

飼料を統㆒してから、消費者から味のばらつきに関する声が届くことはなくなりました。私自身も食べてみると、脂肪交雑はしっかりあるのに「くどさ」はなく、食べやすい、あっさりした肉質になったと感じています。

 

写真4.「洋食コノヨシ」にて期間限定で提供された山川さんが生産した牛肉を使った料理
写真4.「洋食コノヨシ」にて期間限定で提供された山川さんが生産した牛肉を使った料理

 

—給与量やタイミングで工夫しているのはどのような点ですか?

飼料設計時に、給与量やタイミングを定めたマニュアルも作りましたが、絶対ではありません。環境や牛によって違いがあるため、10〜12カ月齢の肥育スタート期から月齢に合わせて階段式に配合飼料を増やすという基準を踏まえつつ、農場ごとに微調整しています。

 

—飼料以外で、良い牛づくりに欠かせないことは何でしょうか?

最も重要なのは、個体管理です。育成期から適切に管理できていないと、飼料だけでは能力を引き出せません。
更に、ストレスを与えないことも大切です。寝床の管理、ランチケースやウォーターカップの清掃は、健康に直結するので常に気を配っています。

—牛の体調の変化にはどのように気づくのでしょうか?

日常の行動を常に観察することです。「いつもならすぐ寄ってくるのに餌を食べに来ない」「寝ている時間が長い」など、小さな違和感を見逃さないようにしています。
肥育後半は肝臓に負担がかかるので、体調変化のサインには特に注意が必要です。従業員にも「観察だけは怠るな」と繰り返し伝えています。

 

—繁殖から肥育までの一貫生産を続ける理由は?

㆒番は、コストを抑えられることです。市場で子牛を買う費用は、自家繁殖で同じ月齢まで育てるコストの約2倍かかり、差額を肥育に回せます。また、ゲノム情報を活用し、母体の能力を早い段階で判断できるようになったことで、改良のスピードも上がっています。

北海道の皆さんに 和牛をもっと身近に

—枝肉勉強会に参加して、いかがでしたか?

枝肉勉強会には毎回参加。普段見られない他の生産者の枝肉をしっかり見られる、とても良い機会です。自分の枝肉は必ず確認しますし、他の出品者の枝肉を見て勉強しています。

同じように枝肉を見に来る生産者も多いので、他の生産者とも言葉を交わしますよ。近年の暑熱対策や管理の工夫、添加剤の効果など、雑談の中で参考になる話が多いですね。

また、ホクレン主催の「北海道和牛ショーin十勝2025」でトークショーに登壇し、私たちが和牛をどのような思いで育てているかを来場された消費者に直接伝えました(写真5)。北海道全体で、道産和牛をもっと食べていただきたいと思っています。

 

写真5.多くの来場者で賑わった「北海道和牛ショーin 十勝 2025」で講演する山川さん
写真5.多くの来場者で賑わった「北海道和牛ショーin 十勝 2025」で講演する山川さん

 

—今後の展望について教えてください。

今は飼料や資材の高騰で非常に厳しい状況です。牛舎を建てて規模を大きくしたいですが、建築費が高くなり、個人では手を付けづらい状況になっています。

㆒方で、今うちで働いている2名は「和牛で新規就農を目指したい」と熱い思いを持って来てくれた若者です。将来彼らが独立できるよう、技術も考え方もできる限り伝えたい。厳しい中でも次の世代を育てることが自分の励みになっており、使命感を持って取り組んでいます。

「ホクレンくみあい飼料(株) 枝肉勉強会」の詳細についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。>>記事を読む