
この記事は2025年7月4日に掲載された情報となります。
ホクレン 畜産生産部 生産技術課
暑熱ストレスの影響
牛舎内の気温が21℃を超えると、温湿度指数(THI)は65以上となり、暑熱ストレスが発生します。更に25℃を超えると採食量が下がり始め、乳量や乳成分が低下します。特に乳量が多い牛においてその影響は大きくなります(図1)。

また、分娩前の乾乳牛が暑熱ストレスを受けると「分娩後の乳量や繁殖成績」「初乳の量と質」「出生子牛の体重」の低下につながり、長期間にわたり負の影響が続きます。
暑熱対策の3つのポイント
①換気:熱と湿気を追い出す
牛舎内にこもった熱と湿気を外に出すことが換気の目的です。自然換気の場合、牛舎の窓や扉をできる限り開放し、周囲の風向きに逆らわないように、十分な台数の送風機で風を流します。
一方、トンネル換気などの強制換気の場合、入気量と排気量のコントロールが重要となります。空気が滞留している場所があれば、移動式の送風機で風の流れを補助します。
②冷却:牛の体温を下げる
乳牛に風を当てることは暑熱対策の基本です。十分な風速(約2m/s)が牛体に当たるように送風機を設置します(図2)。
また、ソーカー(散水)を採用する農場も増えています(写真2)。濡れた牛体に風を当てることで、気化熱で体温を下げることができます。


③遮光と断熱:温度を上げない
牛舎内に日差しが入ると、横臥(おうが)※時間の減少や飼料の変敗につながります。
そのため、ベッドエリアや飼槽(しそう)に直射日光が当たらないように遮光ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)を設置します。
また、屋根からの輻射熱(ふくしゃねつ)は暑熱ストレスを増幅させるので、屋根への断熱材の設置、断熱塗装、屋根への散水が有効です。
※ 牛が横になる
「乳牛の暑熱対策」ついてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。>>記事を読む