この記事は2024年12月13日に掲載された情報となります。
ホクレンくみあい飼料の利用者を対象に2017年度から開催している「ホクレンくみあい飼料株式会社枝肉勉強会」の取り組みを紹介します。
枝肉勉強会とはどんな事業?
松下 ホクレンくみあい飼料(以下、「系統飼料」)の利用者で行う、枝肉の品評会です。和牛に関して北海道は、育成牛(子牛)頭数では全国2位、肥育頭数は3位であり、どちらかと言えば肥育より子牛生産が中心です。
また、府県に比べて歴史も浅く、知名度や価格という点では古くからあるブランド牛には追い付いていません。本勉強会のような催しを行い、成果を競うことで牛肉の品質が向上し、販売価格も上がることを期待しています。
鈴木 2024年度の枝肉勉強会には、個人経営の方から大規模法人まで17戸の生産者が、37頭と数多く出品してくださいました。
石田 審査の基準としては、一般の共励会や品評会と同じですね。このような大会では審査員が歩留等級、肉質等級を数値化し、さらに厚さや形など外観も見て判断するのですが、出品者の中でA5ランクは78.4%。全国平均が63%なので、かなりレベルが高かったですね。
試食販売フェアでアピール
松下 通常の共励会・品評会なら表彰して競りをしたら終わりですが、この枝肉勉強会の最大の特長は、ホクレン道央支店も協力し、最優秀賞の肉をスーパーの店頭で実際に販売する機会を作っていることです。卸売業者、小売店、消費者にアピールして、販売先につないでいけるような活動をしています。
石田 私たちは生産者団体として、普段消費者と直接交流するようなことが少ない生産者が、思いを伝えられる機会の㆒つとして考えており、生産者からも「貴重な経験ができてありがたい」という声をいただいています。
そもそも、北海道では牛肉より豚肉の方が消費が多く、スーパーの売場でもメインは豚肉です。和牛のイベント自体も少ないので、もっとこういった機会を作れればと思います。飼料会社が肉の販売まで応援するという機会もあまりないですね。
鈴木 私たちも店頭に立たせていただきました。お越しいただいた方のアンケートでは、やはり最優秀賞とっているので特別感があり、試食するとおいしい。また店舗にあったら買いたいという意見もあり、和牛や牛肉の消費拡大につながればと思います。
試食販売フェアでアピール
鈴木 受賞者のお肉を消費者へPRできることが、この枝肉勉強会の特長ですので、生産者にも関心を持っていただき、出品数が増えることが一番大事ですね。さらに、例えば北海道らしい原料を使った配合飼料をし、その牛が枝肉勉強会で受賞し、ストーリー性のある牛肉として販売できれば、また㆒段階違うステージに行けるかなと思います。
石井 私も今回初めて携わらせていただき、試食販売フェアでは消費者の反応を直に見ることができ、お子さま連れなどが楽しんでくれている姿を見ることができました。これをきっかけに、消費者にも生産者にも取り組みを知ってもらい、広がっていけばと思います。
石田 私たちもそうしたお手伝いができれば。ゆくゆくは、和牛肉の新たなブランドができるといいですね。
松下 飼料の販売だけでなく、和牛の品質向上から肉の消費まで考えた特色のある取り組みですが、生産者をバックアップすることで、北海道の和牛生産現場が発展し、安心して生産を増やし消費者にもっと手に取っていただけるような状況にしたいですね。
枝肉勉強会の特色
スーパー店頭で試食販売を実施
最優秀賞の「オホーツクあばしり和牛」はホクレン道央支店の協力により、ホクレンショップ平岡公園通り店(札幌市清田区)としらかば店(苫小牧市)で8月24日と25日の2日間、試食販売フェアを行いました。
生産者も売場で立ち合い、消費者と交流。「最優秀賞受賞牛」ののぼりを掲示してアピールしたほか、試食をしてアンケートに回答、購入した消費者に牛乳のプレゼントも実施。試食にはロースなど高級部位を使用し、焼いた肉を塩こしょうとわさび醤油の味付けで提供しました。
商品はロース、肩、ももなどの部位を薄切りやしゃぶしゃぶ用、ステーキ用に加工して提供。2店舗合計992人が試食し、289パックを販売、約57万円を売り上げるなど盛況でした。
消費者からは、「試食の機会はあまりないので良いと思います」「定期的に開催してほしい」「見た感じほど脂っぽくなかった」「ぜひおいしい道産品をPRして消費者の笑顔を引き出すフェアを続けてください」など、好意的な声、今後の販売に期待する声が多くありました。
アンケートでは味、食感について約9割が「おいしい、軟らかい」と回答。また、「オホーツクあばしり和牛」がまた販売されていたら購入したいかという質問には、7割がまた購入したいと回答し、道産品への関心の高さがうかがえました。