2022年のポイント!
1 各種データを活用し、飼養管理の改善を
2 良質粗飼料の生産に向けた施肥管理
3 【新技術】牛群検定における乳中ケトン体情報の活用法
4 和牛の全国共進会開催に向けて連携強化を
5 【新技術】産肉能力のゲノム育種価評価システムが完成
この記事は2022年4月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部 生産振興局
技術普及課 総括普及指導員
竹岡 裕之さん
【乳牛】
ポイント1
各種データを活用し、飼養管理の改善を
昨年より飼料価格が高騰しています。酪農経営の効率化に向け、生乳の生産旬報や牛群検定成績の乳量・乳成分はもちろんのこと、乳中尿素態窒素、乳中ケトン体、遊離脂肪酸(FFA)、脂肪酸組成(デノボ)などの検査結果に基づいた適正な飼料給与を行いましょう。
乳中ケトン体情報については、周産期の管理改善にも活用できます。規模を維持拡大しながら牛群能力を向上させるには、疾病や事故に起因する淘汰を低減しなければなりません。中でも分娩前後の移行期牛の飼養管理は極めて重要です(表1)。
ポイント2
良質粗飼料の生産に向けた施肥管理
高品質な牧草を安定的に確保するには適正な施肥管理が重要です。適切なタイミングで施肥することで、必要な養分量を供給できます。チモシー1番草では萌芽期、2番草では刈り取り後10日前後の施肥を心掛けてください。
また、昨夏は記録的な高温・少雨でしたが、一定の干ばつ条件においてもイネ科牧草は枯死せず、その後の適正な施肥で翌年の1番草の収量低下を最小限に抑えることができると、過去の試験成績で示されています。北海道農政部の「北海道施肥ガイド2020」を参考にして、有機質肥料の活用など基本技術を確実に実施しましょう。
ポイント3【新技術】
牛群検定における乳中ケトン体情報の活用法
ケトン体はケトーシス(写真1)を回避するための指標になります。心配な牛はモニターしながら把握しましょう。また、分娩後に週1回ずつ市販の試薬でケトン体を測ると、病気を早期に防げます(図1)。指標となる考え方が整理されたので参考にしてください。
【肉牛】
ポイント4
和牛の全国共進会開催に向けて連携強化を
2027年、全国和牛能力共進会が北海道で初めて開催されます。北海道の肉牛の品質を全国へアピールできる絶好の機会です。良い牛を出陳するために、地域の農業者、関係機関・団体が連携を強化し、北海道一丸となって改良や飼養管理に関する取り組みを加速化しましょう。
ポイント5【新技術】
産肉能力のゲノム育種価 評価システムが完成
黒毛和種の改良を迅速に進めるツールとして、道内牛群に適応した「北海道ゲノム育種価評価システム」が構築されました(図2)。
対象牛の毛根を解析機関に送付すると、枝肉8形質のゲノム育種価(産肉能力)を入手できます(写真2)。このシステムにより、種雄牛造成機関における種雄候補牛の1次選抜および和牛改良組合における若雌牛選抜の効率は約2倍以上に向上しました(表2)。