この記事は2024年5月27日に掲載された情報となります。
収穫は天気と作業体系の兼ね合いでなかなか思い通りにいかない場面も多いですが、取り組める範囲で以下のポイントをご検討ください。
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圃場から持ち出すのは草のみ!
収穫時のポイント
POINT 1 刈取り圃場の点検・確認
●収穫適期を見極める
栄養価および収量のバランスから、イネ科牧草の栄養収量が最も高くなる出穂始め〜出穂期が収穫適期です。収穫前に牧草地を観察し、生育状況を確認しましょう。
●異物を持ち出す
牧草地を点検する時に、圃場内に収穫機やハーベスタの刃を損傷させる異物(石や空き缶)を除去しましょう。
●圃場に入るタイミングを図る
圃場がぬかるむ時は無理に入らないようにします。特に新播草地はルートマットが形成されておらず、表面が経年草地よりも柔らかいため、過度に重機を入れないようにしましょう。
●倒伏している場合は優先的に刈り取る
倒伏が起こると下草が蒸れ、品質低下につながります。倒伏している圃場を早目に刈り取りましょう。なお草地が地下茎イネ科雑草のシバムギ主体の場合、倒伏が発生しやすいため、倒伏リスクを把握するためにも事前に草地の植生を把握しておくとよいでしょう。
POINT 2 予乾
きざみサイレージの場合、牧草水分を70〜75%(理想は70%)まで減らしましょう!
●予乾のタイミングを図る
水分含量が高いと、酪酸発酵の恐れやアンモニア態窒素の増加が懸念されます。収穫適期の牧草は、水分含量が高いため、可能な範囲で予乾しましょう。一方、刈取りから収穫までが長すぎると、雨に当たる確率が高まるとともに、呼吸による栄養ロスも発生するため注意しましょう。
POINT 3 収穫
適正な切断長を検討するとともに、きれいな切断面となるように刃を研ぎましょう!
●水分が低い場合は短く切断しましょう
原料草の水分が低くなってしまう場合は短めにするなど、切断長を検討しましょう。また、引きちぎられた牧草ではサイレージ発酵時のロスが高まるため、収穫開始前と収穫途中それぞれでハーベスターの刃を研ぐなど、定期的な研ぎが推奨されます。
Pickup 刈取り高さに注意しよう!
高温によるダメージを回避するためにも刈取り高さは10㎝を確保。少なくとも5㎝以下となるのを避けましょう。
●刈取り高を確保する
刈取り高の確保は、土・堆肥の混入防止のみならず、刈り取った牧草の刈跡が「すのこ」の役目を果たし、牧草の予乾に有用です。また、植生維持にも重要で、高温や少雨の際は特に低刈りによるチモシーへのダメージは大きく、牧草密度の低下を招きます。
収穫・詰込み前の準備のポイント
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詰めるのはきれいな原料草
●バンカー前のエプロンや、運搬車の動線上において、ぬかるみや泥だらけになりやすい場所は火山灰等で整備します。適した資材がなければ、収穫した牧草を敷き詰めるなど対策を実施しましょう。
●バンカーサイロ内の残渣物を掃き出すなど、詰込み時に原料草以外のものが混入しないようにします。
●スタックサイロもスタック下に石灰を振るなどして、清潔な状態にしましょう。
サイレージ詰込み時のポイント
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十分な踏圧と早期密封
サイレージの出来の良し悪しにかかる重要工程!
空気を追い出しサイレージ発酵で主要な働きをする乳酸菌が速やかに活動できるよう「十分な踏圧と早期密閉」が求められます。短時間で詰込み作業を終わらせるのではなく、踏圧を丁寧に行い空気を十分抜いたうえでの密封が肝要です。
●原料草はタイヤが大きく沈みこまない程度に薄く広げて、踏圧が十分かかるようにします。※ただし、原料草の水分が高い場合は、過度な踏圧は避けましょう。
●踏圧が間に合わない場合は以下をご検討ください。
①運搬車を一旦停止させる。または、原料草を別のきれいな場所に一旦降ろしておく。
②詰込みを複数のサイロで並行して行う。
刈取り後のポイント
チモシー主体草地の場合、1番草刈取後の追肥が、次年度以降の生産性に大きな影響を与えます。追肥をぜひ検討しましょう。新分げつの伸長が始まる収穫後10日程度までに確実に施肥をしましょう。