この記事は2018年12月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 畜産生産部 生産技術課
POINT!
乳牛にはカルシウムをはじめとしたミネラル給与が大切です。
乳牛に欠かせないカルシウム
牛乳・乳製品には多くのミネラルが含まれ、特にカルシウムは豊富です。牛体内のミネラル分の中でも主要な成分で、そのほとんど(約98%)は骨に蓄えられ、残りは血液や細胞外液に含まれます。カルシウムは、細胞間の情報伝達、筋肉の収縮、血液の凝固など、いろいろな生理機能に深く関わっています。
体重650㎏ の乳牛では、体を維持するのに一日当たり約30g、それに加えて泌乳期では、生乳1㎏を生産するのに約3g(乳脂肪4%の場合)のカルシウムが必要です(表1)。
泌乳期に向けた体(骨)づくりも大切
特に分娩直後の初乳には多くのカルシウムが必要となります。乳牛はカルシウムを飼料から摂取し、主に腸管から吸収していますが、ホルモン(上皮小体ホルモン)の働きにより腎臓でビタミンD由来の成分をつくり、その作用で腸管からより多くのカルシウムを吸収できるようにしたり、骨(破骨細胞)に蓄えられたカルシウムを血液中に取り込んだり、腎臓から尿として出ていく量を抑えることで必要な量を確保しています(図1)。
このように泌乳期のカルシウム確保には、飼料とともに体(骨)も重要な役割を担っています。子牛育成期も、骨の形成や成長のため一日当たり約20〜30gのカルシウムが必要なので、泌乳期に向けた体づくりのため、育成する段階に応じ適切な給与が大切です。
カルシウム以外のミネラルにも留意しましょう
また、ミネラルの中にはカルシウムの吸収量に影響を与えるものがあります。例えば、マグネシウムにも重要な働きがあり、不足するとカルシウム吸収量が落ちてしまいます。マグネシウムは乳牛の体内では蓄積がほとんどないので、ルーメン(第一胃)内に十分な量があるよう毎日給与し、ルーメン壁から吸収させることが必要です。
そして、カリウムも過剰に給与すると、体内がアルカリ化されホルモンの活性が下がり、カルシウムの吸収率や骨からの再吸収率が低下するので注意が必要です。
適切なミネラル給与にリンカル製品活用を
近年、乳牛の高泌乳化にともない泌乳期中でのカルシウム不足を疑われるケースもあります。給与する粗飼料を分析し、ミネラル含量を確保するなど給与時のメニューを確認しましょう。
なお、カルシウム源の成分含量や乳牛の吸収率は、それぞれ異なります。例えば、炭酸カルシウムの吸収率は75%、第一リン酸カルシウムは95%と言われています(表2)。
ホクレンでは、カルシウムのほか、マグネシウムなどのミネラル源をバランス良く組み合わせて給与できるリンカル製品を取り扱いしています(表3、写真1、2)。お近くのJAまたはホクレン支所までお問い合わせください。