この記事は2016年12月1日に掲載された情報となります。
そもそも指定団体制度とは?
指定団体制度は、昭和41年に施行された「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」(通称: 不足払い法)に基づいた制度です。
この法律は、加工原料乳向けの生乳を生産する酪農家に補給金を交付することを定めたものですが、補給金を受け取ることができるのは指定団体に生乳を出荷している酪農家に限定されています。
指定団体は全国に10団体あり、北海道ではホクレンが指定されています。指定団体は「一元集荷多元販売」「全量無条件委託」「用途別取引(プール乳価)※」などを行い、酪農家の経営安定と所得向上、需給調整に大きな役目を果たしてきました。
※プール乳価/飲用・脱脂粉乳・バター・生クリーム・チーズなど、用途別に異なる乳価をプール(合計)して補給金とともに支払うことで、どの地域でも酪農家が公平に乳代を受け取ることができる仕組み。
制度ができた背景
昔は、酪農家がそれぞれ個別に乳業メーカーと価格等の交渉をして生乳を販売していました。しかしその交渉は対等とは言えず、さらには集乳ルートが入り乱れ、わざわざ遠方から運んでいる場合もあり、輸送コストがふくらんでいました。
これに対し、指定団体制度の下で各酪農家の生乳をまとめる事で「経済的な力」として乳業メーカーと対等な立場で交渉する事が可能となる他、効率的な集荷体制で輸送コストを抑えることができます。
また、日々変動する需要に対しても指定団体が多くの乳業メーカーと調整することで、牛乳乳製品の安定供給を担ってきました。
なぜ問題になっているのか?
近年、指定団体を離れ、乳価の高い飲用向けのみに販売する団体に生乳を販売する動きがあります。
さらに、「指定団体に生乳を出荷する酪農家だけに補給金が交付される仕組みは公平ではない」「酪農家の所得向上のため酪農家が自由に販売できる仕組みが必要だ」といった議論が規制改革推進会議でなされ、制度そのものが注目されているのです。