広く普及しているロータリーの機能や使い方について、松山株式会社の小川原さんに詳しく教えてもらいました。
この記事は2020年8月1日に掲載された情報となります。
松山株式会社 北海道営業所長
小川原 朋広さん
ロータリーは1台で5役のマルチな作業機
ロータリーの機能
ロータリーは耕起、反転、攪拌(かくはん)、砕土、整地と1台で五つの役割をこなす多機能な作業機です(図5)。爪で土をえぐって持ち上げ、攪拌することで土を細かくし、後ろの整地板で平らにならします(次頁図6)。
欧米では耕起・反転をプラウ、攪拌・砕土・整地をハローで行うのが一般的です。ロータリーが時速2km程度なのに対し、プラウは10kmと作業スピードが速いからです。日本でも大規模な生産者はプラウとハローを使っての作業が見られますが、道外ではほぼロータリーが占めています。
プラウなどに比べてロータリーは操作が簡単で扱いやすいですが、デメリットは硬盤層をつくりやすいこと。松山株式会社ではパラソイラやサブソイラなど硬盤を破砕する機械と組み合わせて使うことをおすすめしています。
操作で大切なのは標準速度を守ること
作業のポイント
ロータリーの使い方で気をつけてほしいのは「適切なスピードを守る」こと。爪の回転の標準速度があるので、それに応じた速度でトラクターを走らせてください(図7)。トラクターが速いのに爪が遅いと無理な力がかかって機械を傷めてしまいます。反対にトラクターが遅くてロータリーの回転が速いと、土が細かくなりすぎてしまいます。
また、圃場の土質に合わせて機械を選ぶことも大切です。一般的な汎用ロータリーはトラクターの進行方向に爪が回るダウンカットですが、進む方向と反対に爪が回転するアップカット(図6)の「アッパーローター」という機械もあります。何回も爪で土を叩くので、粘土質の圃場などで土を細かくしたい時に向いています。
そのほか、耕うんする深さにも気をつけてください。浅すぎると耕うんする土の量が確保できず、整地後の土の表面にあちこち穴が空いた状態になる場合があります。
長く安全に使うために正しいメンテナンスを
ロータリーの保守点検
ロータリーはミッションケースから入った動力が横に伝わり、チェーンケースが爪軸を回します。中にギアやチェーンがあるので、必ず作業前にオイル漏れをチェックしてオイル交換してください。
また、機体のボルトやナットは振動で緩むことがあるので、増し締めをすると安心です。耕うん爪がすり減っていないか確認も忘れずに。
一番破損しやすいのは、トラクターの動力を作業機につなげるジョイント部分です。壊れると交換費用が高額になりがちなので、こまめに給油をしてください。特にシャフトはスライドする部分なので、給油不足だと焼き付いてしまいます。
シーズン後、長期の保管は雨ざらしにせず倉庫に格納しましょう。
ジョイントへの給油
スパイダーには使用時ごとにグリースを注入します。出てきた古いグリースに鉄粉が混じっていると、摩耗が激しく機能が低下している証拠。ガタつきや異音の原因になるので交換を検討ください。
スプラインにも使用時ごとにグリースを塗ります。シーズンの終わりにはシャフトにグリース、ロックピンに潤滑油を塗ります。
耕うん爪の交換
爪は消耗品です。幅が狭くなってきたら交換時期。磨耗した爪は砕土率が低下し、結果的に燃費も悪くなります。右のような状態では耕起できません。作業が終わったら必ず爪の確認を。両端の爪やタイヤ跡に当たる爪は摩耗が速くなるので、しっかりチェックを。