農業現場の新しい情報を生徒たちへ 〜帯広農業高校とホクレンの取り組み

農高生のスマート農業体験の様子

未来の農業経営者が学ぶ北海道帯広農業高等学校とホクレンが連携し、農機メーカーの協力のもと、最新のスマート農業を生徒が体験する授業を行っています。

この記事は2020年12月1日に掲載された情報となります。

北海道帯広農業高等学校×ホクレン

ホクレン帯広支所 営農支援室 主任技師 佐藤 尚典

ホクレン帯広支所
営農支援室
主任技師 佐藤 尚典

農高生がスマート農業を体験

北海道帯広農業高等学校では、ホクレン帯広支所と連携し、同校の生徒に向け農機メーカーの協力のもと、最新の農業機械に触れて技術を伝える授業を行っています。初年度である2020年度は、酪農科学科の2年生を対象に、真空播種機を利用した飼料用とうもろこしの試験に関わる調査や自動操舵補助装置付きトラクターの試乗を行いました。

飼料用とうもろこしの生育調査と収量調査では、真空播種機によって畝間と株間を変えたり、千鳥播種した飼料用とうもろこしの生育状況を比較。6月下旬には葉数や草丈、9月下旬の収穫時には草丈と実の重量や長さ、登熟ステージなどを調査し、それぞれ検証しました。

自動操舵トラクターの授業では、株式会社ビコンジャパン、株式会社ニコン・トリンブル、三菱農機販売株式会社のサポートのもと、全員が順番にトラクターに試乗し、「ホクレンRTKシステム」を活用した自動走行、自動旋回を体験しました。また、最後に実際の圃場を走行する際のスピードでデモンストレーションを行い、自動操舵の精度の高さを目の当たりにしました。

今後も積極的に連携を

ホクレン帯広支所営農支援室の佐藤尚典主任技師は言います。

「ICT技術が活用されるようになり、農業が大きく変わろうとしています。農機メーカーと協力して将来の担い手に最新の技術を伝えたいという私たちの意向を、先生にも前向きに捉えていただきこの取り組みが実現しました。生徒さんと接することで、将来農業経営に関わるという覚悟と志の高さを感じ、農業の明るい展望が見えると共に、生徒さんにたくさんのことを伝えていきたいという意識を新たにしました」

また、「生徒が卒業して就農した後に、相談できる機関としてホクレンも一つの選択肢となれば」と佐藤主任技師。次年度以降もホクレン帯広支所の関係部署では、さまざまな機関と連携し、高校生が取り組みやすい試験栽培や体験授業を行っていく考えです。

参加した生徒の感想

富田 佑亮さん(士幌町出身)

富田 佑亮さん(士幌町出身)

自動操舵トラクターは走った道が記録されるので作業もれがなくなり、誰でも効率的に作業できると思いました。

多田 雅樹さん(湧別町出身)

多田 雅樹さん(湧別町出身)

効率的な千鳥播種の技術を知り、父にも話しました。父と専門的な酪農の話ができるようになりうれしいです。

中沢 海斗さん(上富良野町出身)

中沢 海斗さん(上富良野町出身)

スマート農業にじかに触れられてありがたいです。将来は学んだことを地元でも伝え、酪農を盛り上げたいです。

菱沼 柊太さん(鶴居村出身)

菱沼 柊太さん(鶴居村出身)

現場で仕事をしている方の高度な専門知識に触れ、将来の酪農経営に必要な知識として大変勉強になりました。
今回、体験授業を受けた酪農科学科の2年生の皆さん。
今回、体験授業を受けた酪農科学科の2年生の皆さん。
生徒も実際にトラクターに乗って自動操舵を体験しました。
生徒も実際にトラクターに乗って自動操舵を体験しました。

将来を担う生徒が最新技術に触れる絶好の機会に

北海道帯広農業高等学校 酪農科学科主任 教諭 原 義幸さん

北海道帯広農業高等学校
酪農科学科主任 教諭 原 義幸さん

近年の農業は労働力不足や気象の変化から、限られた日数で作業しなければならないことも多く、ICTを活用した作業効率化はこれから不可欠になってくると思います。そのような中、生徒が新しい技術に触れ、将来の農業経営に生かすことができる絶好の機会になりました。本校は、道内はもとより本州からも生徒が集まり、寮生活を送る生徒もいて農業を学んでいます。将来、実家の農業を継ぐ生徒も多く、地域でさまざまな機関と連携しながら課題を解決できるリーダーになってほしいと考えています。学校の教員だけでなく、高度な知識や技術を持つ専門家と接して話を聞くことは、将来の農業経営にも大きな力になると思います。今後も皆さんの力を借りながら、将来の北海道農業の宝となる生徒を育てていきたいです。