北見市、訓子府町、置戸町にまたがるJAきたみらいの自動操舵技術導入の取り組みをご紹介します。
この記事は2020年12月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 営農支援センター スマート農業推進課
JAきたみらい
営農振興部 企画振興グループ
齊藤 陸都さん
250戸が自動操舵技術を活用
JAきたみらいでは、労働人口の減少や一戸当たりの面積の増加に伴う労働力不足・長時間作業が大きな課題となっていました。そこで、自動操舵技術の本格的導入に取り組み、2015年度にRTK基地局を設置。2020年度の産地生産基盤パワーアップ事業により新規導入者が増加、ホクレンRTKシステムに移行し、安心かつ安定的なサービスの提供を行っています。現在は組合員戸数の4分の1に当たる約250戸が自動操舵技術を活用しています。
「生産者からは『精神的・身体的疲労が軽減される』『生産性が向上する』『労働時間が減少した』という声が多く、好評を得ています。また、当地区では作業競合による作物の適期管理が課題でしたが、自動操舵技術の導入により、作業に余裕が生まれ適正な栽培管理ができます」とJAきたみらいの齊藤さんは期待を寄せています。
使いやすいシステム
訓子府町の水留さん(写真1〜3)が自動操舵技術を導入したのは2017年。労働力の軽減と植え付けなどでの正確な作業を期待してのことでした。それまでは、計算上の畝数と実際の数が違うことや畝が曲がることがたびたび発生。導入後は、畝数が計算通りになり、畝が正確で真っ直ぐになったことで作業効率が格段に向上。基準となるAB線を作っておけば畑のどこからでも作業ができるようになりました。そのため、傾斜地でも気にせず作業でき、馬鈴しょの芽が出る前に培土ができるようになりました。今では小麦やてん菜の作業でもフル活用しています。
Case01
訓子府町 水留 亮さん
DATA
●経営面積: 20ha
●使用ガイダンス:Trimble CFX-750
●作業人員:4名
●主な作物:馬鈴しょ、てん菜、小麦
ホクレンRTKシステムは、アプリの操作性が良く、基地局に不具合があった時でも対応できる点が使いやすいと感じています。
「この技術は、農業の大規模化が進むうえで今後、必要となるはず。補助事業などをうまく活用することでハードルも下がるのでスマート農業の第一歩として採用してみてはいかがでしょう」
コスト面で考えよう
置戸町の河野さん(写真4〜6)は10年程前に経営面積拡大に労力が追いつかないと感じ自動操舵を導入。導入後は播種作業に遅れが出ないようになったものの、精度の点から管理・収穫面に十分活用できず不満を抱えていました。そうした中、6年前に有志によるRTK基地局立ち上げに参加。RTK導入後は、「時間短縮」「作業の正確さ」「防除通路のポール立ての省略」「後部作業機の確認時間の確保」そして「疲労軽減」といった効果の大きさを実感しています。
Case02
置戸町 河野 由文さん
DATA
●経営面積:42ha
●使用ガイダンス:TOPCON X-25
●作業人員: 2名
●主な作物:馬鈴しょ、てん菜、小麦、スイートコーン、大豆
現在は、最初に導入した無線システムとホクレンRTKシステムを併用。ホクレンRTKシステムは、トラブル発生時に自動的に利用基地局が切り替わる点や一般的なNtrip方式※に比べて費用が数分の一で済む点をメリットとして感じています。
「以前に比べて安くなったとはいえ、まだまだ高価。周りで使っている方の意見などを聞き、本当に必要な物か検討することが重要です。個人的には費用対効果は十分にあるので、うまく使えばとてもいい農機具だと思います」