新型コロナウイルスの北海道農業への影響

世界中で猛威を振るい、未だに終息しない新型コロナウイルス。北海道農業への影響と、その対応についてホクレンの事業をもとに振り返ります。

この記事は2020年8月1日に掲載された情報となります。

アグリポート編集部

緊急事態宣言下の3カ月

新型コロナウイルスは、1月に国内最初の感染者が報告され、その後2月以降に拡大しました。2月28日には北海道独自の「緊急事態宣言」が発令。4月には全国に「緊急事態宣言」が発令され、北海道で解除されたのは5月25日でした。

この間、「学校給食の停止」「インバウンドなどの観光需要の減少」「外出やイベント自粛」などが北海道産農畜産物の消費に影響。ホクレンの事業から見たその影響を図1にまとめました。学校給食用の牛乳、米、お土産菓子用の砂糖や小豆、乳製品、飲食店向けの牛肉や冷凍食品、イベント用の花きなど多品目で需要が大きく減少。方、「巣ごもり需要」と呼ばれる家庭内での消費は増加しました。家庭用の精米やバター、即席めん向け片栗粉、灯油などは消費が伸長。ホクレンショップの売り上げも増えました。

新型コロナウイルスによる影響を受けたホクレンの主な取り扱い品目・項目
図1.新型コロナウイルスによる影響を受けたホクレンの主な取り扱い品目・項目

 

そのほか、農作業の現場では、技能実習生の入国遅延などにより、労働力不足が深刻化。方で、肥料をはじめ農業資材類はJ‌Aとの連携により予約取りまとめなどを実施していたため、供給に大きな影響はありませんでした。

ホクレンの取り組み

ホクレンでは、医療関係者への支援や、需要が落ち込んだ品目の消費拡大に向けたさまざまな取り組みを実施(図2)。特に話題となった生乳では、消費者の皆さんが積極的に消費に努めてくれたことや、乳業メーカー各社の協力もあり、何とか処理不可能乳の発生を回避できました。そのほか、製糖工場やパールライス工場などの操業、家畜市場の運営、物流の確保なども関係者の協力を得ながら影響を最小限に抑えました。労働力不足に対しては、JAグループ北海道が連携し、人材募集用のチラシを作成し希望するJAで活用してもらったほか、観光など需要が低下している他産業と生産現場のマッチングを行っています。

ホクレンで取り組んだ支援や消費拡大に向けた取り組み(抜粋)
図2.ホクレンで取り組んだ支援や消費拡大に向けた取り組み(抜粋)

しかし、観光や業務用需要の回復にはまだまだ時間を要する見込みです。これまで同様に道内の生産者や農業関係者同士がお互いに助け合うことが何より大切だと実感しています。例えば、ヨーグルトを食べて、在庫が増えた脱脂粉乳の消費に貢献するなど、身近なことから協力しましょう。

北海道農業の重要性を伝える

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、食料自給率の低い日本にとって、食料の安定供給の重要性を改めて考え直す機会ともなりました。消費者と生産者が体となって「食」への理解を深め、大変な状況下であっても、日本の食料基地・北海道として生産者が営農を続けていることを皆で発信していきましょう。