労働力不足解消に向けた新たな取り組み「ボラバイト」

キーワード:労働力

労働力不足解消に向けた新たな取り組み「ボラバイト」

カテゴリー:労働力不足対応
実施年度:2018~2019年度
実施:岩見沢支所営農支援室
対象JA:JAそらち南
協力関係機関:調整委託企業(NPO法人ユニライズ)、北海道、空知総合振興局、JAグループ北海道 他

POINT
●援農ボランティア「ボラバイト」による農作業のサポート

この記事は2021年2月1日に掲載された情報となります。

援農ボランティア「ボラバイト」

田植え作業の労働力不足

空知管内は、水稲の作付面積が道内で番多く、特に人手が必要な時期は産地間で重なるなど、田植え作業に必要な短期雇用者の不足が深刻です。

全道的に見ても、家族労働力だけでは田植え作業をまかないきれておらず(図1)、空知管内も悩みを抱えていました。

北海道における水稲の作業別直接労働時間
図1.北海道における水稲の作業別直接労働時間
出典:農林水産統計 平成30年産農産物生産費(個別経営) (北海道)より

「ボラバイト」による作業支援

その悩みを解決するアイデアのつとして、田植え作業の人員を援農ボランティア”(通称:ボラバイト)として募集しました。募集にはチラシも作成、配布しました。

2018年のボラバイトによる作業支援は5月27日に実施。札幌市在住の道庁職員やJAグループ職員など22名が参加しました(受け入れ生産者5軒)。

当日の参加者は「育苗ハウスでの苗はがし」「苗の運搬」「田植え機への苗のセット」などの作業を行いました(写真1〜3)。

終了後は、参加者と受け入れ生産者に、感想や気づいた点などについてアンケートを実施。また、後日JAや関係機関との報告会を開催し、次年度以降に向けての改善点等を協議しました。

2019年は5月18・19日の2日間実施。空知管内の関係機関や企業を中心に募集して1日目は17名(受け入れ生産者7軒)、2日目は11名(受け入れ生産者5軒)が参加しました。2018年の反省点として挙げられた「JAの負担軽減」のため、2019年は、生産者と参加者との連絡調整等の業務を「NPO法人ユニライズ」に委託しました。

育苗ハウスでの苗はがし
写真1.育苗ハウスでの苗はがし
苗の運搬
写真2.苗の運搬
田植え機への苗のセット
写真3.田植え機への苗のセット

“ウィンウィン”の関係構築

アンケートによると、参加者は、部の方は「つらかった」と回答したものの、大多数が「楽しかった」と回答。中には「楽しかった」と「つらかった」の両方を回答した方もいて、「肉体的につらかったが体験自体は楽しかった」ことがうかがえました(図2)。

同じく、受け入れ生産者からは、「非常によかった」「よかった」との感想が聞かれ、「普通〜よくなかった」と回答した方はいませんでした(図3)。そのほか、「思った以上に働いてくれて助かった」「もっと長い日数や時間でお願いしたい」といった声が多く聞かれました。

参加者の感想
図2.参加者の感想 アンケート回収率
2018年:100%、2019年:65% 複数回答あり
受け入れ生産者の感想
図3.受け入れ生産者の感想 アンケート回収率
2018年:80%、2019年:100%

次の展開へ

この2カ年の取り組みを通じ、生産者は田植え時の貴重な労働力として"ボラバイト”に対して大いに期待を寄せています。2020年は、関係機関だけではなく般の方も対象として募集しましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく実施を見送りました。

2021年以降は、幅広く多くの方々を対象とした募集を行う予定です。取り組みを通じて多くの方に農業の魅力を伝えていきたいと思います。