「カットブレーカー」による圃場の透排水性や土壌物理性改善効果を検証

函館支所管内の実証試験での春施工の様子(2021年4月)
写真1. 函館支所管内の実証試験での春施工の様子(2021年4月)

ホクレンの営農支援の現場からさまざまな取り組みや情報をお届けします。

この記事は2021年10月1日に掲載された情報となります。

Hokuren area Report
営農支援センター

圃場の透排水性や土壌物理性の改善は、農作物の生産性向上にとても重要です。土が硬く締まっていると圃場に水が滞留したり、作物の生育に大切な根の成長に影響を及ぼします。圃場の改善対策には、暗きょや心土破砕などの基盤整備がありますが、経済性などから生産者自身で実施できる方法が求められています。

こうした中、株式会社北海コーキ(北見市)と農研機構が開発したのが、全層心土破砕機「カットブレーカー」です。

トラクターなどに装着されたカットブレーカーは、60㎝ほどの深度まで挿入され、耕盤層を含む土をV字状の切断刃で切断、その土を持ち上げて破砕し、後方に落下させV字状の破砕溝を形成します。

この透排水性や通気性が改善された破砕溝によって、土壌環境を良好にし、根の成長促進や根域拡大などを図るものです(図1)。切断された土がそのまま落下するので、下層土が作土に持ち上がりにくい特長があります。(AP26号23ページでも紹介)

カットブレーカー施工原理(農研機構「カットシリーズ」パンフレットより作成)
図1.カットブレーカー施工原理(農研機構「カットシリーズ」パンフレットより作成)

昨年、岩見沢支所管内(三笠市)の玉ねぎ圃場の実証試験で、春の作付け前に施工したところ、土壌の膨軟化により収量増加につながる良好な結果が得られました。

そこで、営農支援センターでは本年度、5支所(函館、倶知安、札幌、岩見沢、旭川)管内に取り組みを広げ、豆類や馬鈴しょ、かぼちゃなどの春施工や、秋播き小麦や翌年春に作付け予定の玉ねぎ圃場に夏秋期の施工を行うなど、作物や施工時期、場所が異なる13カ所で効果の実証試験を行っています。

本年度の実証試験結果は、今後整理してアグリポートなどを通しお伝えするとともに、次年度以降の普及に生かしていく予定です。詳しい内容などはホクレン各支所営農支援室までお問い合わせください。