特定技能外国人の受け入れは環境整備とアプリがポイント

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特定技能外国人の受け入れ

この記事は2024年8月1日に掲載された情報となります。

写真1.農業総合研究所営農支援センター訓子府実証農場 畜産技術課長 道場 和也(左)、場長 武井 宏紀(中央) 業務課長 松山 博之(右)

農業総合研究所営農支援センター訓子府実証農場
畜産技術課長 道場 和也(左)
場長 武井 宏紀(中央)
業務課長 松山 博之(右)

 

ホクレン訓子府実証農場では今年から特定技能外国人2人が牛舎で働いています。同農場で外国人を受け入れるのは初めてのこと。受け入れの準備や周囲の反応、就労後の様子などを聞きました。

POINT

  • 働く人の生活文化を尊重し、暮らしやすい環境になるようサポートする

  • 日本語が不十分でもアプリの翻訳機能を使えばコミュニケーションができる

 

特定技能外国人を派遣で受け入れ

北見市から車で30分の距離にあるホクレンの訓子府実証農場。今年1月からインドネシア出身の特定技能外国人が2人、牛舎で働いています。

「人手不足は慢性的です。都市部から離れた場所にあるし、牧場は朝が早いためパートの人も集まりません」と言うのは武井場長。ホクレン内部で行っていた説明会で、酪農・畜産分野を中心に特定技能外国人を派遣している札幌エージェント株式会社の話を聞き、受け入れを検討し始めました。

これまで技能実習生や特定技能外国人を受け入れたことはなく、外国人が就労するのは初めてのこと。労働者の住まいの確保が必要だったため、住環境を整えました。生活文化が異なることもあり2人で住めるように配慮。それぞれに個室を用意し、居間にはエアコンも設置しました。

受け持ちは搾乳と牛舎の清掃

即戦力として来日したのはルストゥーさん(31歳)とモチャさん(26歳)。彼らはインドネシアの学校で日本語と基礎的な作業については履修済み。また、2人とも技能実習生として本州で働いていた経験もあり、日頃の会話は日本語で問題なくコミュニケーションが取れています。

現在フリーストールの牛舎で朝・夕の搾乳と清掃を担当していますが、受け持ちの業務については派遣元の担当者とあらかじめ打ち合わせて契約を交わします。訓子府に来た当初は慣れないこともありましたが、半年たった今では新しい環境にすっかり慣れました。

現場を取り仕切る道場課長は「搾乳にフルに入ってくれるので非常に助かります。みんな頼りにしていますよ」と、2人の働きぶりを賞賛します。

 

写真2.モチャさん(左)とルストゥーさん(右)。
写真1.モチャさん(左)とルストゥーさん(右)。
既婚者のルストゥーさんは家族をインドネシアに置いて来日しています。「初めは牛がでかくて驚いた。今は怖くない。エサをやったりするのが好き」と笑顔で話します。経験を積んで、帰国後は羊の牧場をやってみたいと思うようになりました。㆒方、モチャさんは搾乳が面白いそう。「インドネシアに帰ったら自分の家を建てたい」と話します。

 

チャットでコミュニケーション

コミュニケーションで困ったときに活躍するのは、マイクロソフトのアプリTeamsの翻訳機能です。

「日本語で入力するとインドネシア語に翻訳して彼らのスマホに表示され、彼らがインドネシア語で入力すると日本語で返信されるので、お互いに理解が早い」と言うのは松山課長。2人にはポケットWi–Fiを貸与し、どこにいてもスマホで連絡できるようにしました。

休日は母国の家族とテレビ電話で話したり、アニメを見たり、漢字を勉強したりしています。武井場長は「1人だったら寂しいだろうし、助け合えているようでよかった」と、2人の様子を見守っています。

 

特定技能外国人の受け入れ

 

仕事の幅を広げる活躍を期待

近くに買い物ができる場所がないため、スタッフが北見の市街地まで送迎。2人はスーパーなどで食材や衣類を買い、自炊で生活しています。職場スタッフとも打ち解けて、プライベートで㆒緒に食事に行くようになりました。

武井場長は2人が今後、小型特殊免許などを取得して、仕事の幅を広げてくれることを期待しています。「先日、刈払機の安全講習を受けてもらったのですが、まだ日本語の読み書きが難しいことが課題」なのだとか。資格取得にも翻訳機能を使うなどの規制緩和が求められます。

ルストゥーさんとモチャさんの派遣契約は1年更新ですが、2人と共に過ごす中で武井場長は「できるだけ長く働いて欲しい」と考えています。

 

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