Q&Aで聞く

1日アルバイトを雇用する時に注意すべきこと

キーワード:1日農業バイトパート雇用人材雇用保険
この記事は2024年8月1日に掲載された情報となります。

すずき労務経営コンサルタンツ 代表 鈴木 大輔さん

すずき労務経営コンサルタンツ
代表 鈴木 大輔さん

 

スマホのアプリを介して農業バイトに応募する人が増えています。「スキマバイト」や「スポットワーカー」などとも呼ばれる、日雇いのアルバイト。雇う側が留意すべき点を社会保険労務士の鈴木大輔先生に聞きました。

 

Q 1日農業バイトを雇う際のルールとは?

A 「労働条件通知書」の交付が必要です。

「労働条件通知書」の交付が必要です

たとえ日雇いでも労働基準法に則った雇用契約が必要です。雇用主は労働者に「労働条件通知書」を交付することが義務づけられています。

紙(書面)で手渡さなくても、相手の同意があればメール等でも構いません。例えば、1日農業バイト「デイワーク」のアプリでは、働く時間や場所など労働条件を入力すると、自動的に「労働条件通知書」が作成され、労働者がダウンロードできる仕組みになっています。

 

Q 求人募集で気をつけることは?

A 性別や年齢を限定した応募はNGです。

A性別や年齢を限定した応募はNGです。

男性のみ、40歳以下といった性別や年齢を限定した求人はできません。「健康な方を求む」もNG。「若い人が多く活躍しています」ならOK。どのような仕事かイメージできるよう、作業内容を具体的に記入しましょう。

 

Q 労災保険の加入などは必要?

A 万が一に備え「労災保険」に加入しましょう。

法人経営の場合と、個人経営でも常時5人以上雇用する場合は、雇用期間・労働時間にかかわらず労災保険への加入が義務づけられています。

個人経営で常時5人未満の雇用の場合は任意加入ですが、労働者が業務上で事故に遭うと、雇用主が補償する責任が生じます。万が一に備え、必ず労災保険に加入しましょう。

労災保険は事業所単位の加入となるので、いったん労働基準監督署に届け出ると、いつ何人雇用しても労災保険の適用になります。

なお、1日農業バイトは日雇いなので、雇用保険や社会保険への加入は基本的に不要です。

 

労災保険の種類

 

Q 農作業で配慮すべきことは?

A 安全衛生教育を忘れずに。

労働者を雇用したときは安全衛生教育が義務づけられています。仕事の前に作業手順など注意事項を整理して伝え、日報などに記録として残しておくこと。

チェックリストを作成し、労働者に署名してもらうと理想的です。これを怠って事故があると、雇い主の責任が重くなります。

また、熱中症の備えとして飲料水と塩分を用意するのも雇用主の義務です。塩あめやスポーツドリンクなどを常備するほか、こまめに休憩を取れるように配慮しましょう。

 

雇い入れ時には安全教育が必要です

 

Q 環境整備で求められることは?

A トイレの確保は重要です。

環境整備で求められることは?

仮設トイレ、日差しを避ける休憩スペースの用意が望ましいです。また、屋内作業は禁煙が鉄則。

タバコを嫌う人が多いので、屋外でも喫煙場所に注意しましょう。宗教の勧誘、セクハラ・パワハラも厳禁。

「結婚してるの?」「付き合っている人はいるの?」などの質問もセクハラに当たります。

 

Q リピーターになってもらうには?

A 「また来たい」と思ってもらえる工夫を。

リピーターになってもらうには?

お願いする作業の範囲を明確に決め、具体的に指示しましょう。指示する人が複数いて、人によって指示の内容が違うと、混乱を招きます。

雇用主側の都合による早上がりや中止はなるべく避け、例えば早上がりの場合でも1日分の賃金を支払うようにすると「また来たい」と思ってくれるはずです。

「デイワーク」のアプリでは評価を投稿できるため、評点の高い農家さんのところには人が集まりやすくなります。

 

Q 賃金の支払いで注意すべきことは?

A 「給与明細書」を交付します。

賃金の支払いで注意すべきことは?

1日農業バイトは日雇いですから、その日の賃金は、その場で現金で支払うことが基本となります。

規定の時間を超えた場合は、残業分も支払う必要があります。交通費については法律上、支払う義務はありませんが、支給した方が人が集まりやすいでしょう。

賃金を支払う際は「給与明細書」を交付することが義務づけられています。日額9,300円以上の場合は源泉徴収が必要とされています。