JA青年部を代表し、北海道農協青年部協議会(道青協)の会長・副会長を務める4名に、青年部活動のメリットや今後の展望について、座談会形式で語っていただきました。
この記事は2021年12月1日に掲載された情報となります。
北海道農協青年部協議会
会長 稲村 政崇さん
Profile:水稲、花き、薬草を生産。2013年JA北いしかり青年部に入部。2020年北海道農協青年部協議会副会長、2021年現職。
自分たちが成長する活動と消費者への情報発信。諸先輩が続けてきた活動を絶やさず続けていきます。
北海道農協青年部協議会
副会長 岡田 和久さん
Profile:水稲、そば、ブロッコリーを生産。2006年JA北いぶき青年部に入部。2020年空知農業協同組合青年部連合会会長、2021年現職。
農業は周りの力がなければ成り立たないもの。地域のつながりという土壌を守っていきましょう。
北海道農協青年部協議会
副会長 船田 和也さん
Profile:小麦、馬鈴しょ、てん菜、豆類、野菜を生産。2014年JA中札内村青年部に入部。2020年十勝地区農協青年部協議会会長、2021年現職。
地域の営農環境をより良くしていくためにも、世代を超えてたくさん会話しましょう!
北海道農協青年部協議会
副会長 遠藤 洋志さん
Profile:乳牛を飼育。2001年JA中標津青年部に入部。2020年根室地区農協青年部連絡協議会会長、2021年現職。
全道6,000人の盟友から知恵をもらえる青年部活動。自分の営農へのヒントも必ず見つかります。
仲間との交流を楽しみ知恵を得られる青年部
稲村 皆さんは、青年部に入って良かったと思うのはどんな時ですか?私は就農する前、大学時代と会社員時代に9年間地元を離れていたので、青年部で仲間が増え、情報も得られてありがたかったです。あと、JA青年部で行っている食農教育に携わることで、地元の方たちと関われたのも良かったと思います。
船田 私も会長と同じく、中学卒業から27歳まで地元を離れていたので、青年部で先輩の経験を聞けたことが、営農の面でとても助けになりました。
岡田 仲間との交流もそうですし、沼田町と空知地区では、青年部の視察としてヨーロッパやアメリカなどへ行く機会があって刺激になりました。今は、道青協の活動で地域によって違う営農の話を聞くことができ、そこで得た気付きを地元に還元するようにしています。
遠藤 地元の青年部も道青協も、仲間と交流できることが楽しいです。そして他団体の仲間と話すことで、営農のヒントがもらえます。全道6000人の盟友から知恵をもらえる青年部活動は、本当に大切な場だと思います。
青年部だからこそできた貴重な体験
稲村 活動していて印象に残ったことも多いのではないでしょうか。青年部の活動の中で、地域や消費者の方に貢献できたことは自分にとっていい経験になったと思います。小学校に出向いて行う食農教育や、ホクレンくるるの杜のイベントを通じてお客さまと接することができ、笑顔や感謝の言葉をいただけた時はやりがいを感じられました。普段は作物と向き合うことが多いので、消費者が喜んでくれる様子を見られる機会は貴重だと思います。皆さんはどうですか?
遠藤 私が所属する根室地区の食農教育では、北海道教育大学釧路校の学生さんが1泊2日で酪農体験をするんです。学生たちは牛の命と向き合うことで、最終日に行うバーベキューで言う「いただきます」の重みが変わり、その変化を目にするとやって良かったなと実感します。
船田 私は、2019年の青年部大会の実績発表でJA中札内村青年部が全国優勝したことですね。村の保健グループと青年部が村民の食生活改善のために取り組んだ「七色献立プロジェクト」について若い世代がプレゼンしたもので、青年部活動の集大成が評価され誇らしく感じました。
岡田 私は15年ほど前、北海道米の食率がまだ低かった頃、道東のスーパーで今では考えられないほど安価で手売りをしました。開店と同時にお客さまが猛ダッシュしてくる様子を初めて見ましたね(笑)。今は高い評価を受けるようになり、そうした地道な活動も北海道米の普及にある程度役割を果たせたのかなと思います。
若い人たちと手を取り合って 地域の農業を活気づけよう
稲村 今は若い人で青年部に入らない人もいるという話もよく聞きますが、営農するうえで有益な情報を得られるという意味でも、青年部の役割は大きいのではないでしょうか。例えば、最近は異常気象が大きな問題になっていますが、それでも安定して作物を作っている人もいます。そういった情報はスマホで探すより、青年部の人間関係を通してリアルな話を聞いた方がよほど有益ですよね。若い人たちには、そういう面でも青年部をどんどん活用してもらいたいですね。
遠藤 そうですよね。また、私たち青年部が地域の問題を解決する役割を果たせる可能性も大きいと思っています。中標津町の酪農は高齢化と離農率の上昇が深刻です。そこで、青年部の若手が空いた時間に手伝うことで人材不足を補い、地域の農業を支えることができるのではないかと。人数が集まれば大きな力になるし、地元も活気付きます。
岡田 沼田町も高齢化と離農という点では、特に山間部で深刻です。一戸当たりの作付面積も道内トップクラスになっています。このまま地域が衰退し、農協や青年部のつながりが一度なくなれば、簡単につくれるものではないですよね。個人でやっているように見えますが、実は農業は地域や周りの人の力があって初めて成り立つものですから、若い人とも手を取り合って、今ある地域のつながりの土壌を守っていきたいと切実に思っています。
船田 中札内村も同じく高齢化が進んでいます。一方で、土地があるなら面積を増やしたいという向上心の強い若手も多いので、心強いです。そんな若い人に、「たくさん会話しよう」と声を掛けたいですね。世代間の交流を増やすことで、より良い営農環境が築けると思います。
青年部のつながりを通して食と農を守る活動を
稲村 そういった各地域の実情を踏まえて、道青協でもそれぞれの地域に力を与えるような活動をしていきたいですよね。
遠藤 道青協のスローガンは「みんなで守ろう食と農」ですが、北海道の食べ物とそれを作る地域の農業を守ること、道青協の本質はそこに尽きると考えています。活動を通してこれからも発信していきたいです。
船田 今は個人主義の人も多く、盟友数が減っていると聞くと、協同の理念が伝わらなくなってきているのかなと思います。数は力ですので、若い世代にも協同の理念を理解してもらい、興味を持ってもらえる活動を進めて、青年部活動を維持していきたいですね。
岡田 人と人が関わる活動は、突き詰めると人間の進化につながります。もちろん、青年部もそうです。道青協を通して、関わる人の人間力の向上につながるような活動をしたいと思います。
稲村 北海道の食を守るには、自分たちが意識・知識を育てる仕組みづくりと、消費者や未来の担い手への発信が必要だと思います。事業としても、研修活動と食農教育をしっかり位置付けています。諸先輩が70年にわたり継続してきたこの活動を、絶やさずに守っていきましょう!
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