施肥コスト低減に土壌分析を活用しましょう

キーワード:土壌分析施肥肥料

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施肥コストの低減には、土壌分析を行い圃場の状態を確かめ、圃場に合った肥料を選ぶことが重要です。土壌分析を有効活用するための、正しいサンプル採取方法と分析結果の見方をご紹介します。

この記事は2022年10月1日に掲載された情報となります。

ホクレン肥料農薬部 技術普及課

1.土壌サンプルの正しい採り方

土壌分析する圃場の状態を正しく反映できるよう、サンプルを採取することが大切です。


採取地点の選び方

採取地点の選び方02

圃場の土壌成分は均一ではないので、家に近い圃場の隅など偏った採取では圃場全体を反映できません。

採取地点の選び方01

圃場を代表する地点を決め、対角線上に5カ所から土壌を採取してよく混ぜ、一つのサンプルにします。(500g〜1kg)


採取時期

採取時期1

肥料や堆肥・スラリー等の散布前に採取します。収穫後がおすすめですが収穫直前や春の耕起前もOK。
採取時期2

肥料や堆肥・スラリー等の散布後では、正しい分析結果が得られません。

土壌分析と購入肥料のサイクル例

土壌分析結果は毎年大きくは変わりません。過去の分析結果も肥料選びに役立てましょう。

3〜4年ごとに定期的に土壌分析をすると土壌の変化が分かり、施肥効果の検証もできます。


サンプル採取の深さ(草地以外)

サンプル採取の深さ1

表面に近い浅いところだけ多く採取しがちなので気を付けましょう。

サンプル採取の深さ2

作土層(耕うんしている土層)から、一定の厚さで上下均等に採取します。

●一般的な作土層の目安
水田:15cm  畑作・野菜:20cm


草地の土壌採取方法

維持管理草地①維持管理草地
草地表面から5cmまでの層を、ルートマット層※は取り除かずに採取します。

※イネ科牧草にみられる表層付近に集中した根の厚い層

更新草地

②更新草地
耕起後に播種床表面から15cm程度の改良対象土層となる部分から採取します。

 

【スムーズな分析のために】

降雨後は避けるなど、なるべく乾いた状態で採取しましょう。ルートマット以外の不純物(地上部の牧草、枯れ草、石、虫、根など)は取り除いてください。


2.分析結果の見方Q&A

くみあい土壌分析センターの結果票を例に、分析結果の見方を説明します。

分析結果の見方

Q1 どの項目が重要なの?

A まずはpHと施肥設計に関する成分をチェック

●pH →作物生育に適した環境かどうかや、炭カル等の投入量の参考に。

●窒素・リン酸・カリ・苦土→肥料選びの参考に(→Q2)

 

Q2 分析結果を肥料選びに使いたい

A 窒素・リン酸・カリ・苦土の判定から圃場に適した肥料を選びましょう

●判定を確認することで、適切な施肥量が分かります。

●上記例ではリン酸・カリが減肥できます。

●取扱銘柄はお近くのJAへご相談ください。

 

Q3 何を分析しているの?(mg/100gとは)

A 10aの作土 10cm 分の養分量を分析しています

●作物が利用できるリン酸やカリなどが、土壌(100g)中にどのくらい(mg)含まれているかを分析しています。

●mg/100gの分子と分母をを100万倍すると→kg/100t(100tは深さ10cmの土壌10a分とほぼ同じ重さです)。

 

Q4 腐植やリン酸吸収係数は改善できる?

A 土壌そのものの性質なので、土壌に合った栽培管理が基本です

●腐植:土壌中の有機物

●リン酸吸収係数:リン酸固定のしやすさ(固定されたリン酸は作物が利用しにくくなります)。

●腐植の増加・リン酸吸収係数の低下には、堆肥の長期的な連用も有効といわれています。