農業の未来に役立つ技術を紹介

農業の未来に役立つ技術を紹介

営農を続けていくために、栽培管理やスマート農業などさまざまな技術の実証が進められています。環境負荷軽減や化学農薬、化学肥料の使用を低減する技術の中から、すぐ取り組める既存技術や、現在実証中の技術を紹介します。

※なお、掲載内容には北海道内だけではなく道外で実証中の技術もあります。
この記事は2022年8月1日に掲載された情報となります。

アグリポート編集部


水稲の中干し

ここに注目!
中干しや間断かんがいなどの水管理を適切に導入することで、水稲の収量を維持しながらメタンの排出を低減できます。

水稲の中干しには、根を活性化させ栄養を吸収しやすくすることに加え、メタンの排出を低減する効果があります。ただし、水稲の障害型冷害のリスクが想定される天候の推移(幼穂分化期の著しい低温・日照不足など)である場合は、中干し・間断かんがいの導入は慎重に検討してください。 水稲の中干し


稲わらの搬出・秋すき込み

ここに注目!
稲わらの搬出と秋すき込みの実施は、良質米の生産とメタン発生量の低減につながります。

稲わらの搬出・秋すき込み

水田では、微生物が有機物を分解する際にメタンが発生します。メタンの発生を低減する方法に、稲わらの搬出や秋すき込みがあります。春すき込みと比べて、搬出は約7〜8割、秋すき込みは約3〜5割のメタン発生量の低減につながります。秋すき込みの際は、たい肥化をして施用することが指導されています。稲わらを完全な腐熟状態までたい肥化し、水田に還元することでメタン発生の抑制のみならず、地力向上にもつながります。


自動走行技術

ここに注目!
高精度な位置情報を活用し、作業のムラやムダを減らし、農薬・肥料の低減を図ります。

トラクターなどの農機を自動走行させることで、非熟練者でも正確な作業が可能に。作業の軌跡が確認できるため、作業の重複を防げます。効率的な作業により、農薬・肥料の低減も期待されます。

自動走行技術


可変施肥

ここに注目!
圃場で生じる地力のムラに応じて、地点ごとの施肥量を変えることで、肥料使用量の低減に有効です。

可変施肥

生育センサーや衛星データなどで圃場の生育状況を分析したマップに基づき、圃場内の施肥量を調節。施肥量が多い品目では特に効果を発揮します。また、肥料の低減によるコスト削減に加え、作物の生育もそろいやすくなり、収量・品質の安定が図れます。


メタンの発生を抑制する飼料

ここに注目
特定の海藻や油脂に含まれる成分を飼料に混ぜて食べさせることで、牛の胃で作られるメタンの発生を抑制することが期待されています。

地球温暖化の原因となるメタンは、牛のゲップにも含まれています。世界中の牛が出すメタンの量は、二酸化炭素に換算すると全温室効果ガスの約4%という試算も。特定の海藻や油脂(カシューナッツ殻油など)に含まれる成分が、胃内の細菌構成に影響を与え、メタン発生の抑制を図ります。

メタンの発生を抑制する飼料


ピンポイント防除

ここに注目!
病害虫が発生している地点のみにピンポイントで農薬を散布することで、農薬使用量の低減を図ります。

ピンポイント防除

ドローンを用いて圃場全体を撮影し、AIの画像解析により害虫の位置を特定。ピンポイントで農薬を散布することで、農薬使用量の削減が期待されています。