この記事は2020年2月1日に掲載された情報となります。
道内の特別支援学校(高等部)では、近隣の農家で現場実習を行っているところがあります。その中の一つ、新篠津高等養護学校で話を聞きました。
北海道新篠津高等養護学校 越田 淳教頭(右)
進路指導部 西島 智子先生(中) 石川 卓哉先生(左)
「現場実習の受け入れで生徒の姿を見てほしい」
就労を目指した取り組み
新篠津高等養護学校には園芸科、木工科、窯業科などの職業学科があります。園芸科では、多彩な作物や花を栽培。学校祭での販売や給食の食材として提供しています。
毎年秋には現場実習があり、地域の協力を経て、さまざまな職場で就労体験を実施しています。
「学科には関係なく少人数のグループに分かれ、ホクレンショップやコンビニ、道の駅などでの販売のほか、近隣の農家さんで大根の箱詰めやコンテナ運搬などをお手伝いさせてもらいます。若くて体力がありますから『助かる』と言われることも多いですよ」
そう教えてくれたのは進路指導部の西島先生。1年生の実習には先生たちが引率して、作業を細かく指示します。
「例えば切り花を入れるフィルムにシールを貼る作業なら、作業台に見本を置けば、上に重ねて同じ位置に貼ることができる。教員と生徒のやりとりを見て、生産者の方もやりやすい方法に気付く場合もあります」と西島先生。言葉で伝えるだけでは理解できなくても、ちょっとした道具の工夫でできる作業は広がります。
農作業が貴重な就業体験に
現在、卒業後に生徒が農業へ就業する事例はごくわずかです。
「進路は、その子が将来にわたり安定した生活を送れることを念頭に開拓しています」と教頭の越田先生。求人があっても、生徒の実家から遠い場合は、通勤手段や生活の支援がないことが課題です。
「障がいのある子どもたちが社会的自立に向けて頑張っているので、地域で実習に協力してもいいという農家さんがいらっしゃると助かります」と西島先生。
同じく進路指導を担当する石川先生も「言われたことを一生懸命やる素直な子たちなので、真面目に働く姿を見てほしい」と口を揃えます。
実習は1年生は6日間、2年生は10日間。授業の一環なので賃金や交通費は必要ありません。まずは学校祭や企業向けの学校見学会などに参加し、特別支援学校の生徒たちと接点を持って、少しずつ理解を深めていくと良いかもしれません。