この記事は2019年4月1日に掲載された情報となります。
栗山町の農家に嫁いだ井澤綾華さん。管理栄養士の資格を活かし、料理研究家としても活躍しています。子育てをしながら仕事も続ける綾華さんに、農家の女性が自分らしく生きるヒントを聞きました。
農村体験で「農家フェチ」に
食べること、料理をつくることが好きな井澤綾華さんは、将来は食関係の仕事に就きたいと天使大学栄養学科に進学。サークル活動でファームステイしたのをきっかけに農業に興味を持ちました。
「私は札幌生まれで農業に無縁でしたが、土地に根ざして作物を育て食を支える仕事に誇りを持っている農家さんは素晴らしいな、と」
それからは「農家フェチ」と自称するくらいにさまざまな農業イベントや農村体験に参加。大学を休学して島根県津和野市の農林課で就業体験にも挑戦しました。その後、大学に戻って管理栄養士と栄養教諭の資格を取得。卒業後は「地域おこし協力隊」として栗山町で働く道を選びます。
結婚・出産と仕事を両立
栗山町の農業振興公社に勤め、農業体験のコーディネートなどを手掛けていた綾華さん。若手農業者が集まる4Hクラブの活動を手伝ううち、玉ねぎ農家の井澤孝宏さんと知り合い2017年に結婚しました。
去年、長女の乃々華ちゃんが誕生し、今は4世代で暮らしながら、家族の食事づくりを担当。更に井澤農園のホームページを開設して情報発信をしたり、新聞にコラムを連載したり、料理教室で教えたりと多彩に活動しています。
今年1月には百貨店の催事でお料理のデモンストレーションにも挑戦した綾華さん。どのように仕事の幅を広げてきたのでしょうか。
「学生時代からのつながりでレシピ開発を頼まれたり、フェイスブックを通じてお料理教室の話が舞い込むこともありますよ」
井澤農園でも、綾華さんの提案でふるさと納税の返礼品事業者に登録したところ、玉ねぎや野菜の申し込みが千件を超え、売り切れるほどの人気に。今後は開設したばかりのホームページでオンラインショップも運営する計画です。
農業には「余地」がある
綾華さんの夢は料理研究家としてアトリエを持ち、夫とファームレストランを営むこと。農家の仕事や新規就農についても伝える場にしたいと考えています。
「料理の知識や技術を活かして、農業にスポットライトを当てる役目をしたいんです。加工や商品化をお手伝いして、実績を出せたらいいなと思っています」
井澤さんのお宅では2カ所あるキッチンの一つをリフォーム。食品加工場として申請し、綾華さんの仕事を応援してくれています。
「農業には工夫次第でいろんなことができる余地がある。新しく加わった嫁の立場だから、挑戦できることもあるのでは」と綾華さん。
「マルシェに参加したり、居酒屋や総菜店とコラボしたり、ブランドをつけて直売したり、昔ながらのやり方にちょっとプラスするくらいなら始めやすい」と提案します。
そのために必要なのは、仲間づくりと家族の理解。綾華さんのように自分の夢や思いを素直に伝えたり、SNSでオープンに発信すれば、協力してくれる人がどんどん増えていくのかもしれません。
「井澤さんの農力」
家族の理解と協力
井澤孝宏さん・綾華さんご夫婦と、長女の乃々華ちゃん。
井澤農園では孝宏さんと姉、両親の4人で玉ねぎを中心に少量多品目の野菜と花の苗を生産しています。
情報発信はこまめに
井澤農園のホームページのほか、料理研究家として個人のフェイスブックでも情報発信。
面倒がらずこまめに更新しています。