JAおとふけ
理事 津島 朗さん
小麦、てん菜、大豆、小豆、金時、ニンジン、スイートコーンを手掛ける音更町の畑作農家。指導農業士、北海道立農業大学校の同窓会長、「農家の友」の編集委員など公職多数。中小企業家同友会にも所属し、農商工連携にも取り組んでいる。
「学び続ける気持ち。死ぬまで持っていたいね」
この記事は2018年10月1日に掲載された情報となります。
学びたくても、仕事に追われて時間がない、という人も多いはず。どのように学べばいいのか、音更町の指導農業士の津島 朗さんに、いつも心掛けていることを教えてもらいました。
現場で学んできた経験が七つの言葉に詰まっています
学ぶ言葉①
常に未来を語れる人に
僕が若い頃に思ったのは、年長者の「昔はこうだった」という話を聞くだけでは、若い自分には理解が難しいということ。
自分が年長者となった今は、先人たちから教わった過去の良い部分と自ら勉強したことを踏まえて、若い人と一緒に農業の未来を語り合えるようになることが目標となっています。
学ぶ言葉②
年齢を言い訳にしない
昨年、草刈り中に目に石が当たって失明した先輩がいるんです。入院中は地域の仲間で畑を手伝って終わらせたんだけど。
年も66歳だし、片目だと畝を切るのは難しいんじゃないかと周囲が心配するなか、今年2台のトラクターにGPSを付けてキレイな仕事をしたんですよ。若い人がみんな驚いて、うちもGPS付けなきゃ、となった。すごいなーと思ってね。
学ぶ言葉③
勉強会にはなるべく出る
視察先で「あらゆる勉強会に出ている」という農業者の話を聞きました。その方は「全体の内容のうち一つだけでも役に立てばいい」と。その一つが積み重なると、大きな差になりますからね。
だから僕も勉強会にはなるべく出て、最前列に座る。今はインターネットで調べられることも多いけど、講師のエネルギーは実際に会わないと伝わらないでしょ。
意欲のある人に接すると、自分の気持ちも上がる。それが大事だと思うんです。
学ぶ言葉④
頼まれたら引き受ける
指導農業士として講演や相談を頼まれたら、できる限り引き受けるよう心掛けています。
誰かに何かを伝えようと思ったら、まず自分のことを整理しないとならない。人に伝えるのは、自分の勉強でもあるんだよね。
学ぶ言葉⑤
いろんな地域の仲間に会う
指導農業士の集まりで会った酪農家の方は、搾乳70頭で健全経営なのに、60頭に減らして同じ利益を出す方法を考えるのが楽しいと言うんだよね。なるべく楽な方法で利益を確保して、人生を楽しむほうがいい、と。
若い人が楽をしようというのは危険だけど、僕は今57歳だからね、なるほどそうだな、と思ったね。自分が何をしたいのか考えて、仕事を減らす勇気が必要だと、最近は考えています。
学ぶ言葉⑥
認めてもらえる機会をつくる
修学旅行生や農業体験を受け入れるのは、お金にはならないけれど、大事なことだと思うんです。僕らは小麦粉や砂糖の原料をつくっているので、消費者においしいと評価されることはない。
けれど、実際に生産現場を見れば、生産者の努力を分かってもらえる。自分の仕事を誰かに認めてもらえる一瞬があれば、それをエネルギーにして頑張れますよ。
学ぶ言葉⑦
「なにくそ」という気持ちが大切
農業はどうしても天候に左右される。今年も正直、滅入るくらいなんだけど、たとえ今年が悪くても「なにくそ」「来年は取り返すぞ」と挑む気持ちがあれば、勉強しようと思うでしょ。負けてはいられないからね。