この記事は2018年4月1日に掲載された情報となります。
ホクレン|肥料農薬部|技術普及課
POINT!
農作物の安定生産に欠かせない肥料について、その役割や施用方法を解説します。
1.肥料の役割
土壌中には作物が必要とするさまざまな養分が存在しますが、作物が目標とする収量を得るためには土壌養分だけでは不足しており、肥料を施用して補う必要があります(図1)。
目標収量を得るために必要な養分量は作物・地域・土壌条件などで異なり、また過剰な施肥は作物や環境に悪影響を及ぼすことから(図2)、それぞれの作物・地域・土壌に適した肥料(銘柄)を使用します。
また、炭カルなどの石灰質肥料に代表される土づくり肥料は、土壌の化学性を作物の生育に適した状態に改善するために使用します。
2.肥料の施用方法
肥料を効率よく作物に効かせるには、作物が肥料養分を吸収しやすいように施用することがポイントです。
①施肥時期
一般的に、作物は生育が進むと多くの養分を必要とします。
作物によっては、基肥で全ての肥料を施用すると肥料の利用効率が低下したり濃度障害(肥料やけ)を起こす恐れがあるため、そのような作物では生育に合わせて分施(標準量を数回に分けて施用)や追肥(標準量に上乗せして施用)を行います。
作業省力化のため、分施や追肥を省略できる肥効調節型肥料の利用も増えています。
②施肥位置
作物(根)からの施肥位置で、肥料効率や持続期間が異なります(表1)。種や根に近いほど施肥効率は高くなりますが、濃度障害の恐れもあることから、作物や栽培方法により適した施肥方法を使い分けます。
3.肥料の形態
窒素・リン酸・カリの肥料3要素のうち二つ以上を保証する肥料を複合肥料といい、粒状の複合肥料は化成肥料とBB肥料に分けられます(図3)。
BB肥料は、化成肥料と異なり化学的工程がないため低コストで製造でき、また、土壌分析傾向をもとに作物や地域にあった銘柄を容易に製造できるメリットがあります。
化成肥料とBB肥料の肥効に差はないことから、ホクレンでは生産者の肥料コスト低減のためBB肥料の取り扱い拡大を進めています。