捕獲に必要な免許と手続き

捕獲に必要な免許と手続き

エゾシカやカラスなど農業被害をもたらす野生鳥獣であっても勝手に捕まえることはできません。捕獲するための免許や手続きについて紹介します。

この記事は2021年6月1日に掲載された情報となります。

北海道 環境生活部 環境局 自然環境課野生鳥獣係 係長 三浦 光雄さん

北海道 環境生活部 環境局
自然環境課野生鳥獣係
係長 三浦 光雄さん

野生鳥獣は勝手に捕獲できない

野生鳥獣を捕まえるには、狩猟するための狩猟者登録をするか、捕獲の許可を受ける必要があります。

「狩猟」の場合、対象となるのはエゾシカやキツネ、アライグマ、カラスなど鳥獣合わせて48種類。狩猟期間も決められていて、北海道の場合10月1日〜翌年1月末まで、エゾシカのみ10月1日〜翌年3月末までです(部異なる地域あり)。

「許可捕獲」は被害を及ぼしている鳥獣に限って期間や場所を限定して捕獲できる制度です。狩猟と違い作物を作っている夏場の捕獲も可能です。

これは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(通称:鳥獣保護管理法)」で決められていて、必要な手続きをとらずに捕獲すると1年以下の懲役や100万円以下の罰金などの罰則があります。

狩猟免許を取得するには

狩猟も許可捕獲も狩猟免許が必要です。狩猟免許は捕獲に使う法定猟具(法律で定める猟の道具)ごとに4種類があります(表1)。これらの猟具は使い方を間違うと人の命を脅かす危険があるため、使い方を熟知しなければなりません。それぞれ試験を受けて合格した人に狩猟免許が交付されます。

試験には知識試験、適性試験、技能試験があり、年に数回、各振興局で実施されています(図1)。また、北海道猟友会では支部ごとに受験に向けた講習会を開催しています。

狩猟免許の種類
表1. 狩猟免許の種類
「狩猟者登録」の流れ
図1. 狩猟ができるまでの流れ 実際に狩猟を行うためには、居住の市町村を管轄している振興局で「狩猟者登録」が必要です。猟法ごとに申請手数料がかかるほか、狩猟税の納付も求められます(有害鳥獣駆除の従事者には狩猟税の減免措置あり)。また、銃猟を行う場合は、第一種・第二種の銃猟免許のほか「銃砲刀剣類所持取締法(通称:銃刀法)」による銃器所持許可も必要。こちらは最寄りの警察署に相談ください。
※狩猟免許の試験日程など詳細は、北海道のホームページで確認ください。
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/syuryo/

正しい知識で安全な捕獲を

一連の手続きについて説明してくれたのは、北海道環境生活部の三浦光雄係長。「道内の狩猟免許保持者は4種合わせて延べ約1万2000人。一番多かった1978年の2万人強から約半数に減っていて、年齢も4割が60歳以上」と、今後の担い手不足を懸念しています。

そうした中で近年増えているのが、エゾシカのくくりわなやアライグマの箱わな設置を目的に、わな猟の狩猟免許を取得する農業者。全体として免許保持者は微増傾向にあるそうです。

「猟銃による事故や違法なわなも確認されていますので、ぜひ正しい知識を身につけて安全に狩猟や捕獲をしてほしい」と三浦係長。「道では狩猟免許に関心のある方を対象に出前教室(写真1)も行っていますので、市町村やJ‌Aなどを通じてお問い合わせください」と呼びかけています。

出前教室の様子
写真1. 出前教室の様子

アライグマ
近年被害が拡大しているアライグマなど一部の特定外来生物について、防除実施計画書を作成している市町村では、講習を受けることで狩猟免許を持っていなくても捕獲を行える場合があります。詳しくはお住まいの市町村にお問い合わせください。