01 ホクレン・JA合同「農業パート募集イベント」から

働く時間とつながる環境

キーワード:労働力環境

働く時間とつながる環境

 

この記事は2017年12月1日に掲載された情報となります。

 

7月27日にホクレンと石狩管内3JA(道央・いしかり・北いしかり)が合同で実施した「パート募集イベント」は114名の方が参加し、盛況の内に終了しました。ここから41名の方がパートに登録。次につながっています。都市部にいる「農業に関心がある」人たちはどう感じていたのか、イベントの模様とその後をレポートします。

 

後藤 真由美さん

JA道央 江別営農センター
営農振興課 後藤 真由美さん

 

広く募集する

40〜60代を中心に多くの来場者が参加した、今回の「農業パート募集イベント」。北海道新聞への折り込みチラシや北海道アルバイト情報社の媒体などを使い、多くの人に農業の仕事をアピール。

イベントでは、パートの方が実際に働いている様子や、生産者からのメッセージの上映、働く上での疑問点を各JA担当者が答えるなど、農業の仕事に興味がある人にていねいに伝える内容でした。

 

キッカケが大事

イベントで説明したJA道央の後藤さんは話します。

「今回のイベントでは勤務時間について関心が高かったと思います。『午前中だけ』という方も多かったので、そこは生産者の皆さんに『少しの時間でも来てくれれば、来年につながりますよ』とお伝えしています。素人さんが農作業をすることは本当に大変。でも、2年目になると皆さん欲が出て来て時間を増やしてくれます。だからこそ最初のキッカケが大事だと思います」

 

イベントと各JAの説明会
イベントと各JAの説明会は札幌市内の同じ建物内で開催。イベント終了後は希望するJAの説明会に参加。

 

定着して働ける環境

後藤さんはまた、次のように話します。

「当然、生産者の対応や相性によって定着率の良し悪しはありますので、私たちが生産者とパートさんをマッチングさせることは重要です。毎年、双方にアンケートを取り、うまくマッチングできるよう少しずつ改善しています。今では生産者の皆さんが相当気を配っているようで、アンケートでは『農家の方に気を遣っていただいて、素人の私でも楽しく作業できた』というのが多いです。そういった生産者のところは人が辞めないし、集まっていますよ」

 

各JAの説明会
各JAの説明会ではより具体的な内容の説明を実施。希望者はパートの登録も行いました。

 

イベント参加者からは、「具体的な作業がイメージできた」「作業の服装がわかった」「自分たちで収穫した野菜が、消費者に届くのが魅力的と思った」など好評でした。

一方で「車を持ってないので通えない」などの声もあり、課題も残りましたが、都市部の人たちが“やってみようか”と興味を持って参加する、そんな思いがたくさん垣間見えるイベントとなりました。

 


今回のパート募集イベントで応募された方が考える農業の仕事

北海道新聞の折り込みチラシ
北海道新聞の折り込みチラシ

 

日川 志津子さん
「朝が早いので夫の仕事との兼ね合いがあったのですが、今では協力してくれるようになりました」という日川さん。

農業パート1年生●日川 志津子さん

「失敗が心苦しいですが働きやすいです」

 

家の中で閉じこもるのではなく、「動かなくちゃ」という思いがあったのと「自然の中で働きたい」と考えていた時に道新のチラシを見て応募しました。

農業の仕事をする前は、車に乗っている時など、広大な畑を見て「綺麗だな、のどかだな」と思っていました。実際にやってみると、大変というよりは「一つ一つが農家さんの生活の糧になるんだなあ」「下手な採り方はできないなあ」と感じ、責任がある仕事だと思います。

朝早いのは構わないですし、一緒に働いている人は皆さん優しく、いろいろ教えてくれます。仕事はすごく好きなんですが、初めての仕事というのは、ついていくのがやっと。早く慣れてテキパキと仕事をこなしたいです。

今はまだ小さいものを収穫してしまうことや見落としなど、失敗してしまうのが心苦しいです。始めてから1カ月半ほどになりますが「来年もやりたい」という気持ちと「早く覚えないと迷惑かけるな」というのが半々です。農家の方は失敗も許してくださるのでうるうるしてしまいますが、とても働きやすい環境だと思います。

一週間に一度の休みですが、午前に終わるので苦ではないです。午後はゆっくりできるので疲れを残すこともありませんね。夫や娘は心配していますが、毎日見送ってくれるなど、いつも応援してもらっています。

 

農作業をする日川さん
これまで農業の仕事には全く関わったことがなかった日川さん。「先輩の仕事を良く見ることが一番大切だと思います」

 


 

長尾 常夫さん
「しゃがんだり伸びたりするのがストレッチになるし、体調も良くなりました」という長尾さん。

農業パート1年生●長尾 常夫さん

「退職後の仕事として適していました」

 

ずっとIT系の仕事に就いていたので、やるのであれば違う仕事をしてみたいと思い今回のイベントに応募しました。退職した先輩からも「野菜収穫の仕事をしている」と聞いていたこともあり、イベントの前から頭の片隅に「農業の仕事」も「いいかな」と考えていましたね。

どんな仕事も実際に現場に行くと違いますから、事前に農協の方から説明は受けましたが仕事を始める2日前からドキドキしていました。実際の現場では、教えてもらった通りにやれば段取り等もすぐわかりました。

始めてみると細かい作業が延々と続くわけでなく、仕事はそれほど重労働ではありませんよ。ハウスの中は暑いこともありますが、それ以外は苦になることもなく、「やって良かったな」と思います。

身体を動かす仕事ということも含め、退職後の仕事としては適しているのではないでしょうか。また、農家さんが育てられたものを成果物として収穫して出荷するという、仕事が目に見えることもやりがいになります。農家さんの役に立ち、市場に出せるというのが良いですね。

農業の仕事を始めて家族はとても喜んでくれました。子どもたちも仕事の内容を興味深く聞いてくれてコミュニケーションに役立っています。

 

農作業をする長尾さん
規格外のものを採ってしまっても後できちんと的確に教えてくれることが仕事を進める上で役立っています。