親子の話し合いのきっかけになればとJA全農が制作した「事業承継ブック」。担当者の山田翔太さんに発行の意図や活用法を聞きました。
この記事は2021年2月1日に掲載された情報となります。
JA全農 耕種総合対策部
TAC推進課
山田 翔太さん
JAの青年部で話を聞くと「親と話し合いができない」という悩みを抱えている後継者が多いことに気が付き、話すきっかけになるツールがあればと考えて作ったのが「事業承継ブック」です。
私自身、実家が兼業農家で、農地を将来どうするつもりなのか、父親に聞けずにいました。この冊子を作っている最中に親子で話し合う時間を持てたのですが、そんなふうに一歩踏み出すきっかけに使ってもらえたらいいと思います。
中身は準備編と実践編の二部構成です。親が子に、子が親に自分の気持ちを伝えるまでが準備編。さらに実践編では、親子で話し合う際のルールを決めるところからスタートし、5ステップで段階的に事業承継に取り組んでいきます。やるべきことをワークシートに書き込みながら、期限を決めて実行できるようになっていて、最終的なゴールは子が作成する「個人事業承継計画」です。実際にこの冊子を活用し「父親が話を聞いてくれた」「息子の覚悟が分かり応援する気持ちになった」などの声が寄せられ、スムーズな事業承継のお役に立てる一冊になったと思います。
キモになるのは「気持ちを伝えるシート」
親は「どういう思いで農業をしてきたか」「農業をやっていて良かったこと」などを書き込みます。子は「チャレンジしてみたい夢」や「農業を継ぐことに対する不安」などを記入します。普段話せない気持ちを文字にして伝えることで、お互いの理解が深まります。