この記事は2016年6月1日に掲載された情報となります。
ホクレン農業協同組合連合会|農業総合研究所|農薬検査分析課
POINT!
(基準値超過原因の割合)
●ドリフト52% ●器具洗浄不足20%
「残留基準値の超過」「適用外農薬の検出」した事例の割合(過去5年間)
農産物から食品衛生法で定められた残留基準値を超えて農薬が検出された場合、その農産物の流通は原則禁止されます。さらには、産地全体の信頼にも大きな影響を与えます。
基準値超過事例と対策
過去5年間の道内の残留農薬検査結果では、基準値超過、適用外農薬の検出事例の原因の5割がドリフト、2割が洗浄不足となっています。過去に発生した事例とその防止対策について紹介します。
ホクレンの残留農薬検査
ホクレン農業総合研究所では、道産農作物の円滑な流通販売と営農指導の支援を目的として、残留農薬の受託検査と検査法の研究を行っています。
平成28年度は、多成分一斉分析法248、単成分分析法8成分にそれぞれ拡大し、68品目の農産物の検査が可能です。また、検査要望の多い成分を対象に、分析法の検討を進めています。
現在、農業総合研究所では道内の残留農薬受託検査の大半を担っています。安全・安心な道産農作物の供給を支援するため、今後も残留農薬検査の実施と体制強化に取り組んでいきます。
ブームスブレーヤーの洗浄手順(例)
❶散布液は圃場で使い切り、残さない。
❷ドレンから残液を排出し、ストレーナー部分の残り液も排出する。
❸タンクに水を溜めエンジンを回し、数分間循環させてタンク内を洗浄後、排出する。(3回程度繰り返し)
❹再度水を溜め、手順に従ってノズルから散布し、配管内も洗浄する。
①ドリフト対策を万全に
水稲いもち病防除薬剤がドリフトして他の作物で検出される事例がありました。風の無い日を選んで散布する、散布機のノズルや圧力は適正なものを選択する、といった基本事項を徹底するほか、隣接圃場の収穫予定日を確認する等、地域一体となった対策が必要です。
②防除器具洗浄などをていねいに
使用した薬剤が防除タンク内に残ったまま別の散布液を作り防除したため、適用外農薬が検出される事例がありました。また、防除時に使用した作業具に付着した農薬が、後日、それを介して適用の無い作物に付着する事例がありました。
防除器具や防護服等、資材・用具類は使用後の洗浄を入念に行い、収穫・選果作業時に使用する作業具とは別に保管する必要があります。
③農薬の適正使用を心がけましょう
農薬散布の際は、農薬のラベルに書かれている適用内容、希釈倍率、散布量等を再確認し、使用基準を守ることが重要です。また散布後に、防除履歴の記録を必ず行うことで、使用基準を守っていることの確認が可能となります。
[ホクレン農業総合研究所]食品検査分析センター農薬検査分析課
残留農薬分析業務
残留農薬検査による農産物の安全性確認と、産地での営農指導支援を目的に検査を行っています。
[対象作物]
米、麦類、豆類、馬鈴しょ、野菜など
[依頼先]
JA、関係団体など
[検査項目]
①多成分スクリーニング検査
②単成分検査:
マンゼブ(グリーンペンコゼブなど)
クロロタロニル(ダコニールなど)
オキソリニック酸(スターナなど)
4-クロロフェノキシ酢酸(トマトトーン)
グリホサート(ラウンドアップ)
グルホシネート(バスタ)
ヒメキサゾール(タチガレン)
有機塩素系農薬(ヘプタクロルなど)
●道内で流通している農薬の85%、248成分の検査ができます。
●検査依頼の窓口はホクレン各支所品目担当課となっております。最寄りの支所までお問い合わせください。