この記事は2023年2月1日に掲載された情報となります。
ホクレン訓子府実証農場で行われるスマート農業実証「コネクテッドファーム構想」。その背景、構想に至るまでの経過についてお伝えします。
ホクレン営農支援センター スマート農業推進課
世界を取り巻く農業の情勢
現在、世界情勢はさまざまな環境変化により大きく変わりつつあります。ウクライナ情勢や円安の進行は飼料や肥料などの価格に大きな影響を与えています。今後、世界的な人口増加も予想され、食料の需給バランスが変化し、日本にも影響することが懸念されます。
日本農業が直面する課題
日本農業においては、「高齢化」・「新規就農者・後継者不足」により1経営体当たりの耕作面積は拡大。人材の確保や省力化に向けた取り組みを急ピッチで進める必要があります。また、生産基盤の安定化を図るうえでこれまで培われてきた知識や経験、技術を次世代にどのようにつないでいくのかも大きな課題です。更に、「みどりの食料システム戦略」といった環境負荷軽減にも対応していく必要があります。
農業以外の産業においては、ロボット技術・ICT(情報通信技術)などの活用が進み、技術革新が産業基盤の維持強化につながっています。
農業分野でも「自動化」「通信インフラの整備」「センシング技術」「AIの高度化」「ビッグデータの活用」等の技術革新が進められており、今後はそれら技術やデータの利活用方法を分かりやすく生産現場へ伝えていくことが求められています。
生産現場が求めるスマート農業に向けた「コネクテッドファーム構想」
例えば、可変施肥等の低コスト省力化技術は、現在の「資材・飼料価格の高騰」対策への一助となる可能性があります。また、過去からの気象データや、センシングによる生育予測システムを活用したデータ農業、農作業の省力化・自動化などを駆使することにより、生産性、所得の向上につながっていくと考えています。
そこで、ホクレン訓子府実証農場の圃場環境を有効活用し、生産現場が抱える課題や将来のニーズに寄り添い、生産性の向上や新たな価値を創造しようという発想から生まれたのが、「コネクテッドファーム構想」です。