カテゴリー:実証試験
実施年度:2020~2022年度
対象:JA新はこだて
実施:函館支所営農支援室
協力関係機関:渡島農業改良普及センター本所
POINT
●「うぃずOne」を用いたトマトの各地区における作型の管理法確立
この記事は2022年11月1日に掲載された情報となります。
褐色根腐病対策として導入
ハウストマト栽培に取り組むJA新はこだての上磯・大野地区、森(濁川)地区では、土壌病害である褐色根腐病の多発による収量低下が課題となっています。
褐色根腐病は、3〜4月の低温期に定植する作型や、連作しているハウス、冬もフィルムを被覆しているハウスに発生が多くなる傾向があります。そこで、養液栽培システム「うぃずOne」を褐色根腐病発生圃場に導入、栽培技術の確立により、収量向上を目指す試験を2020年から行っています。(写真1・2)
「うぃずOne」は、隔離床であるため、ハウス内土壌の影響を受けることなく栽培が可能。肥培管理も容易なことから、道内でも導入が進んでおり、褐色根腐病対策として期待されています(図1)。
五つの作型で栽培試験を実施
調査は、①半促成長期どり栽培、②夏秋どり栽培(通常栽培)、③夏秋どり栽培(収穫ピーク9月栽培)、④温泉熱利用通年栽培(抑制栽培)の四つに、2022年3月から⑤温泉熱利用通年栽培(促成栽培、調査中)を加えた五つの作型で行っています(表1)。
半促成長期どり栽培と夏秋どり栽培(通常栽培)は、例年を上回る8t/10aの収量を目指し、夏秋どり栽培(収穫ピーク9月栽培)と温泉熱を利用した通年栽培(抑制栽培と促成栽培)は、収量が安定的に得られるかどうかの確認を中心に、「うぃずOne」による栽培管理方法確立に取り組んでいます。
栽培管理方法が徐々に確立
2021年度の半促成長期どり栽培では、可販果収量が10a当たり16・7tと前年の2倍以上になりました。
夏秋どり栽培では通常栽培で前年実績の1.1倍(図2)、収穫開始がそれより遅い、収穫ピーク9月栽培においても前年の夏秋どり(通常栽培)と同等の収量を確保しました。また、温泉熱利用通年栽培(抑制栽培)でも慣行の土耕栽培と概ね同等の収量が得られました。
作型ごとの栽培マニュアル確立へ
JA新はこだてでは、各作型における栽培マニュアルを確立することで「うぃずOne」の普及を後押し、生産性の向上や安定化につなげていきたいと考えています。
今後も、養液濃度の調整や生育に応じた給液など肥培管理を改善し、2022年度の試験においても知見の蓄積を進める予定です。