2020年のポイント!
1 雪解け時期は早めに圃場の乾燥を
2 気候変動を見据えた播種計画
3 適期移植、植え付け深も適正に
4 移植後は適正な水管理を
5 生産実績に基づく施肥管理
この記事は2020年4月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部 生産振興局
技術普及課 主査
石岡 康彦さん
昨年は早い雪解けにより春作業は順調に進みましたが、5月の育苗期の高温で異常出穂も見られました。また、6月の高温で土壌窒素が多く出たことと、8月(登熟期)の窒素吸収でタンパク値は高くなりました。収量はやや良、地域差はあるもののほとんどの地域で平年を上回りました。
Point 1
雪解け時期は早めに圃場の乾燥を
秋が短い北海道では、早めの生育を進められるよう、基本技術の実践が不可欠です。まずは雪解け時期に、融雪材の施用や溝切りの施工で早めに圃場の乾燥を促し、地温を高めて土壌窒素を早めに発現させることで、稲の養分吸収を高め、生育が促進されます。また、畦の補修も行いましょう。(写真1・2)。
Point 2
気候変動を見据えた播種計画
ここ数年は5月の気温が高く、早期異常出穂の発生が増えています。特に5月下旬の育苗後半(目標25℃以下)は、適正な温度より高い気温になりがちです。近年の温度条件では、育苗日数が30日を超えると、草丈・葉数の基準値を超える傾向にあります。育苗期間の気温に対応して、各品種の目標葉数を遵守する必要があります。
Point 3
適期移植、植え付け深も適正に
適切に管理した苗を5月25日頃までに移植すれば、活着が良く初期生育も向上し、収量・品質確保につながります(図1)。また、植え付け深は1.5〜2.0㎝が適正とされています。深植えになると苗の植え付け姿勢は安定しますが、生長点の地温が低くなるため初期分げつの発生が遅れ、茎数が減少し秋の穂数不足も懸念されます。移植当日は試し植えで植え付け深を調整したうえ、適正な速度で移植し、精度を高めてください。
Point 4
移植後は適正な水管理を
移植直後から活着までは苗が半分隠れる程度の水位で稲を保護し、好天時は浅水にして活着を促進します。活着後、6月から7月上旬は水温25℃以上を確保できるよう、3〜4㎝の浅水管理を行い、分げつを促進します(写真3)。幼穂形成期後は、4〜5㎝から徐々に10㎝までの深水にし、冷害危険期は最大18〜20㎝にして稲を守ります。
Point 5
生産実績に基づく施肥管理
収量の安定と品質・食味向上のため、圃場に合う施肥窒素量の見直しが必要です。圃場ごとに、小出来、大出来、倒伏などの生育情報を記録することが、次年度の改善につながります。この作業を3年繰り返すことにより、土壌条件に合う施肥管理ができ、長期的に安定した収量・食味・品質の確保につながります。