農業現場で労働力を確保していくためには、従業員が安心して働くことのできる労働環境の整備が欠かせません。選ばれ喜ばれる労働環境実現の第一歩として、簡易トイレを設置してはいかがでしょうか。
この記事は2021年10月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 営農支援センター 営農支援推進課
横浜植木株式会社
北海道支店 副支店長
山口 晃二さん
北海道みのる販売株式会社
次長
森 敏栄さん
需要が伸びている簡易トイレ
「取り扱いを開始した当初、新品は年に2〜3台しか売れませんでした」
こう話すのは簡易トイレを取り扱う横浜植木株式会社の山口晃二さん。
簡易トイレの需要が伸びている背景には、農業現場における労働力確保が関係していると考えられます。パート従業員の面接をすると「トイレの有無」についての問い合わせが多くあげられます。もちろん、「トイレはそこら辺で適当に済ませて」はNGです。圃場の近くにトイレを設置することで、トイレに行く移動時間を削減し効率的に作業を進められるだけでなく、安心して働ける職場環境を従業員に提供できるので、選ばれる存在となり労働力確保につながるメリットがあります。
喜ばれる洋式トイレ
簡易トイレの販売元である北海道みのる販売株式会社の森敏栄さんは「洋式トイレの新品の出荷数が伸びている」と教えてくれました。北海道みのる販売が出荷した簡易トイレの中でも洋式トイレは2014年と比較し、今年は4倍以上に伸長(図1)。その背景には、若年世代で洋式が当たり前という意識や、洋式のほうがつなぎ着用時も用を足しやすいことが考えられます。また、洋式トイレを設置した生産者から、「現場で働く従業員から洋式トイレがあることで喜ばれた」との声があったり、和式トイレから洋式トイレへ買い替えした生産者からは、「洋式トイレのほうが、皆がきれいに使うようになった」ということもあげられているそうです。
また、新品の需要が増えている理由には、コロナ禍で大規模に簡易トイレを使用する各種イベントが中止となることで、市場に中古品の出回りが極端に少なくなり、新品との価格差が縮まっていることもあるそうです。
気持ちよく仕事をするため簡易トイレは必需品
「みのる エコットトイレ M2シリーズ」は、トイレを快適に保つためのさまざまな工夫がされています。トイレの外壁と内壁の間を空洞にすることで、ドアの下から入った空気が背面の通気口から排出されトイレ内の臭いを防止。陶器製の便器は破損しにくくかつ汚れが取りやすくなっています。商品の概要はJAまでお問い合わせください(図2)。
現場で働くみんなから喜ばれる労働環境実現に向けて
建設業においては、工事現場に簡易トイレを設置することが義務付けられています。また、女性の活躍を推進するため、国土交通省から土木工事を受注した建設業者は洋式トイレを設置することもあわせて義務付けられています。一方で、農業は簡易トイレを設置する義務はなく、経営者の判断に委ねられています。幅広く労働力を確保し、かつ農業現場でともに働くみんなから喜ばれる労働環境実現のために、簡易トイレの設置を検討してみてはいかがでしょうか。