やってみよう!土壌分析

キーワード:土壌分析施肥肥料

「土壌分析という言葉は聞いたことがあるけど難しそう」、「毎年同じ肥料を使っているから変えるのは不安」。そんな疑問にお答えします。

この記事は2021年10月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 肥料農薬部 技術普及課

どうして土壌分析をするの?

土壌分析の目的は大きく二つあります(表1)。①圃場の状態を確認し作物の生育に適した環境に整える「土づくり」と、②養分の過不足に合わせて施肥量を決定する「適正施肥」です。

土壌分析の目的と活用例
表1.土壌分析の目的と活用例

土壌分析を申し込んでみよう

土壌分析は主にJ‌Aを通じて受け付けており、ホクレンの「くみあい土壌分析センター」や、地域の土壌分析機関等で分析しています。土壌サンプルは、圃場全体の状態を正しく反映できるように採取しましょう(図1)。土壌の養分状態は個々の圃場によって異なり、過去の肥培管理によっても変化するので、3〜4年に度は土壌分析を行いましょう。

 圃場から均一に採取(5点法)
図1. 圃場から均一に採取(5点法) 「土壌サンプル採取のポイント」はアグリポート15号をご覧ください。 https://www.hokuren.or.jp/kouho/ap/?id=159

分析結果の見方

分析結果には、各成分の分析値とともに「北海道施肥ガイド」で定められている診断基準値との比較が示されます(図2)。

土壌分析結果の見方
図2. 土壌分析結果の見方

分析結果を基に、使用する肥料の成分や量を決めたり、必要に応じてタンカル等の土壌改良資材を施用します。

分析結果を営農に生かそう

土壌分析は私たち人間で例えると健康診断のようなものです。結果を受け取っておしまいではなく、営農改善に役立てることが大切です。

くみあい土壌分析センターの分析結果では道内のリン酸・カリは蓄積傾向にあります(図3)。図4のように養分が蓄積した圃場では減肥ができるので、皆さんの圃場でも土壌分析をすることで、リン酸やカリが低いタイプの肥料への切り替えにより肥料費を減らせる可能性があります(表2)。

土壌分析の傾向(2016~2020年肥料年度)
図3.土壌分析の傾向(2016~2020年肥料年度) 露地野菜、ハウス野菜は作物によってリン酸基準値が異なるが、15~30mg/100gを基準値内としている。
リン酸・カリが蓄積した圃場での施肥対応
※1 施肥標準は地域や土壌の種類によって幅あり ※2 玉ねぎは「やや高い」、チモシー採草地は火山性土の場合
リン酸・カリが蓄積した圃場での施肥対応
図4. リン酸・カリが蓄積した圃場での施肥対応
リン酸・カリ・苦土が蓄積した圃場での施肥改善例
表2. リン酸・カリ・苦土が蓄積した圃場での施肥改善例 ※肥料費の試算は一例です。詳しくはお近くのJAにお問い合わせください。

「肥料を変えることで収量が減るのでは」と不安になる方もいるかと思いますが、過剰な養分蓄積は生産物の品質低下を招く恐れがあります。また、肥料の原料となる化石燃料やリン鉱石などの資源は限られており、肥料を必要以上に使うことは貴重な資源をムダにするだけでなく、環境への負荷も大きくなります。土壌分析は肥料コストの低減に加えて、皆さんの大切な圃場を未来へつなぐ第歩ともいえるでしょう。