北海道産小豆の消費回復には、安定供給し続ける産地体制を実需者に示すことが必要です。生産者と実需者とを安定数量、安定価格で結びつけるため、継続的な作付けによる安定生産へご協力ください。
この記事は2021年6月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 農産部 雑穀課
2020年産は作付面積の目標水準を達成
北海道産小豆の年間消費量は、2016年産で948千俵ありましたが、2018年産は需要に見合った作付面積が確保できなかっただけでなく、不作による供給不足もあり770千俵となりました(図1)。北海道産をお届けできなかった実需者の方は、やむなくカナダ産などの輸入小豆に切り替えざるを得ない事態となり、小豆の輸入量が増大しました。
2019年産は、2018年産で輸入小豆を使用した実需者が、供給の不安定な北海道産小豆への切り替えを懸念したことに加え、新型コロナウイルスによる旅行や出張の制限に伴う土産物用の和菓子需要減少により年間消費量が676千俵となりました。
このような不安定な需給状況においても、生産者、JAの協力のもと、2020年産の作付面積は22千ha、作柄は平年を上回り、その年の小豆が収穫された時点の道産小豆在庫量は1515千俵と安定供給が可能となりました。
今春から北海道産への切り替えが顕在化
ホクレンは小豆のさまざまな可能性を探りながら既存商品以外の用途での新商品開発の協力に携わっています。あわせて、土産物以外でのあん用途として、例えば、あんぱん、アイスクリーム、おはぎなどの実需者に対し北海道産小豆を使用してもらうよう積極的に提案を行っています。また、消費者に向けた小豆のプロモーションでは、旅行雑誌への広告掲載や情報誌でのあんを使ったメニューレシピ企画を実施。ほかにもSNSを活用したキャンペーンや、ホームページ、動画配信サイトなどで消費拡大に取り組んできました(写真1)。
輸入小豆からの切り替えに向けた働きかけを行ったことで、今春から各種メーカーで輸入小豆から北海道産小豆への切り替えが顕在化してきています。
継続的な作付けによる安定生産へのご協力を
北海道産小豆の消費回復のためには、実需者に対し、今後継続して北海道産小豆を安定供給していけるという産地体制を示すことが必要です。その方法として、生産者と実需者を安定数量と安定価格によって結び付ける複数年契約の拡充が欠かせません(図2)。
複数年契約栽培を行う生産者のメリットは、安定価格で販売ができるということです。豊作や、現状のように新型コロナウイルスで消費が大きく落ち込むことにより、価格が大きく下がっても、契約した単価で販売できるため、安心して作付けできます。また、小豆の複数年契約は、国の畑作構造転換事業の「輪作体系の適正化に向けた取り組み」の一環として掲げられ、生産基盤確保の点からも重要な取り組みです。
新型コロナウイルスの影響は依然として続くと想定されますが、2021年産以降は、北海道産小豆の年間消費量を900千俵まで回復させることを目標としています。そのためにも、輸入小豆からの切り替えを積極的に進めることで消費の回復を図るとともに、生産者にとって再生産可能な価格帯で、実需者とを結びつける複数年契約の拡充を行いますので、継続的な作付けによる安定生産へのご協力をお願いします。