カテゴリー:実証試験
実施年度:2020~2021年度
対象:JA新はこだて(知内基幹支店)
実施:函館支所営農支援室
POINT
●水圧式ニラそぐり機の実用性および効果を検証
●水圧式ニラそぐり機を用いたニラ製品輸送時の品質を確認
この記事は2022年6月1日に掲載された情報となります。
ニラの出荷前処理が負担に
知内管内では、現在69戸の生産者がニラを基幹作物としてほぼ通年栽培しており、2017年にJA新はこだて知内基幹支店が共選施設をつくりました。
各生産者は共選施設に持ち込む前に、ニラの下葉や収穫時に付着した土を除去する「そぐり」と呼ばれる作業が必要であるため、現在は空圧式ニラそぐり機を導入しています。しかし長時間の作業が負担となっており、特に3〜4月の水稲育苗、移植の準備時期は作業時期が重なり、本来収穫できるはずのニラを捨て刈りし廃棄せざるを得ない場合があります。
水圧式ニラそぐり機の実用性を確認
そこで、「そぐり」を省力化できるとされている水圧式ニラそぐり機の実用性評価試験を、知内基幹支店の共選施設にて行いました(写真1・2)。
2月に水を使うことで凍結が心配されましたが、冬期間の試験運転でも循環タンク内の凍結などの影響はありませんでした。また、10㎏当たりの作業時間で比較すると、空圧式は作業員1名で28分だったのに対し、水圧式は作業員2名で9分まで短縮されるため、JAも捨て刈り量を減らせる作業速度と感じています(表1)。
経費の比較では、年間40tのニラをそぐり処理すると仮定した場合、空圧式に対して水圧式は電気料金削減により、55万円程度のコストが削減可能との結果が得られました(表2)。
水圧式活用時のニラの品質保持を調査
ニラ製品の微生物検査の結果では、水圧式ニラそぐり機を使用しても、空圧式と同等であることを確認しました。
また、水圧式ニラそぐり機の使用でニラ製品に水が付着し、夏期輸送時は微生物増殖による品質低化が懸念されましたが、輸送試験の結果からは腐敗の程度に有意差は確認されませんでした(図3)。このことから、年間を通して水圧式ニラそぐり機使用に問題はなく、大幅な省力化並びに収穫量の増加が期待できます。
今後の取り組みについて
今後は、水圧式ニラそぐり機を生産者の作業場に試験導入して、作業スペースや動線などを確認し、総合的な省力化効果を評価する予定です。また、道外販売を見据えた輸送試験も検討しています。