カテゴリー:労働力不足対応
実施年度:実施年度:2017~2019年度
実施:北見支所営農支援室
対象JA:オホーツク管内全14JA
協力関係機関:オホーツク農協組合長会、オホーツク農協連、JA北海道中央会北見支所、農業機械販社、作業受託会社(運送会社など)
POINT
●農作業の外部委託に関わるニーズを“見える化”し、運送会社とのマッチングを促進
●作業人材の育成支援にオペレーター研修を実施
この記事は2021年8月1日に掲載された情報となります。
作業委託ニーズの増加
オホーツク管内では、近年酪農家の規模拡大が進む一方、戸数の減少が続いています。経営者の約40%は後継者がいない状況で、20年後には現在の半数程度にまで戸数が減少するといわれています。そのため、作業委託に対するニーズは増加傾向ですが、作業を請け負うコントラクター組織やTMRセンターでは、高齢化による人員不足などの課題があり、新たな人材の確保や技術力の向上が求められています。
そこで、ホクレン北見支所営農支援室では、管内JAや運送会社などと連携し、増加する作業委託のニーズと新たな委託先とのマッチングを促進する取り組みを行いました。
委託作業のニーズと受託可能な企業とのマッチング
委託作業のニーズを把握するため、2017年に農家がJA(コントラクター組織・TMRセンター)へ委託している作業内容と今後の要望について、調査しました(表1)。2018年は、作業受託会社(運送会社など)側で対応可能な時期や人員について調査を行いました。
2019年は、作業受託会社と管内2JAとのマッチングを支援。新たに加わった作業受託会社(2社)は、コントラクター組織の作業(牧草収穫、サイレージ調製)や、TMRセンターの作業(整地、飼料用とうもろこしの播種・収穫・運搬、牧草収穫、堆肥の運搬・散布)の一部を受託しました。
オペレーターの技術力向上へ 研修会を開催
また、作業受託会社のオペレーターなどの技術力向上に向けて、2017年以降、ホクレン訓子府実証農場で毎年5月下旬に初任者〜中級者向けの研修会を開催。例年、作業受託会社やコントラクター組織が参加し、基礎知識に関する座学と実機による体験研修を行っています(2020年は新型コロナ感染症による影響で中止)。
2019年は、3社3JA計13名が参加し、「牧草の基礎知識」、「サイレージのバンカーサイロ踏圧方法」、「農作業安全」の座学のほか、フォレージハーベスターの実機を使って構造や操作、点検調整方法とトラブル対応の研修を行いました(写真1)。アンケートには、知識や技術の習得ができて役に立ったという声が多く寄せられ、収穫機の構造への興味が高いことがうかがえました(図1)。
地域での定着と広がりに期待
これらの取り組みは、地域では欠くことのできない労働力確保策として認識されるようになりました。また、取り組み当初はホクレンが主体的に調整役となっていましたが、現在は該当先同士が直接調整するようになってきており、徐々に地域での定着化が図られていると考えています(図2)。また、ほかのJAからも新たに調整への要望が寄せられるようになってきており、今後更に労働力不足対応の一助になることを期待しています。