
この記事は2026年2月2日に掲載された情報となります。

道総研 中央農業試験場
農業環境部 環境保全グループ
主査 竹内 晴信さん
土壌の排水性が悪いことが作物に及ぼす影響や、排水性に関わる土壌の要因、改善方法について伺いました。
Q.排水性が悪いと、何が起きるの?
A.根の酸素不足や生育阻害物質が発生します
排水性が悪く、土壌に多量の水が溜まっている状況では、土壌中のすき間が水で満たされることで通気性が悪くなり、根が酸素不足に陥ります。根は呼吸によって養分吸収や代謝を行うので、その働きが急激に弱まり、生育不良や収量低下が起こります。
また、酸素不足が続くと土壌は還元状態になり、硫化水素などの生育阻害物質が発生することもあります。

Q.なぜ土壌の排水性が悪くなるの?
A.地下水位の高さや土壌の透水性の低さが原因です
排水不良の原因は主に2つです。まず「地下水位が高い」こと。立地によっては地下水位が浅い位置にとどまっていると、自然排水が進みません。そして「土壌の透水性が低い」こと。土性や堅密性、土壌の構造やすき間の量など、もともとの土壌物理性不良に加え、機械作業など人為的に悪化させた例も多く見られます。更に、暗きょや明きょの劣化・破損も排水性を低下させる要因です。

Q.耕盤層はなぜ排水性を悪くするの?
A.機械的な作業で土壌のすき間が埋まるためです
耕盤層の直上はロータリーやプラウ、代掻きなどによる耕起で軟らかくなりますが、その際に土壌構造の破壊も起こります。特にプラウの刃が土壌を切断する際に、切断面の練り返しで微細なすき間が詰まり、透水性が著しく低下します。つまり、水の通り道が遮断されることにより排水不良が生じるのです。
更に近年は農業機械の大型化でプラウ耕深が深くなり、耕盤層の位置も深くなっています。

Q.排水性を確認する方法はありますか?
A.降雨後の滞水状況確認や土壌断面観察などを行います
排水性を確認する方法としては、降雨後の畑の表面滞水の状況確認や土壌断面観察、貫入式硬度計による硬度の測定、暗きょ管出口や明きょ排水路の流出状況確認などがあります。さまざまな視点でチェックしましょう。
道総研HP(研究成果一覧)で、参考となる研究成果が紹介されています。
●平成27年指導参考事項「疎水材暗渠の排水機能簡易診断と機能回復手法」
●平成14年普及推進事項「土壌・土地条件に対応した排水改良マニュアル」など
道総研HP 研究成果一覧は>>こちらからご覧いただけます。
Q.排水性を改善する具体的な方法を教えてください
A.物理的な対策と、有機物施用などで土壌自身の透水性を改善することが大切です
以下の対策で排水性の改善を図りましょう。
<物理的な対策>
①無理な耕起作業などは避ける
土壌の透水性を悪化させないために、過度の耕起や水が溜まっている中での作業を避けること。特に細粒粘質な土ではプラウ耕を控え、できる限り乾いた条件で、「切る」より「砕く」ような耕起をすると切断面の練り返しが生じにくくなります。
②暗きょで排水する
表層水を速やかに暗きょへ届けます。密な間隔の心土破砕は効果的です。定期的な心土破砕で暗きょにつながるような亀裂を作り、水の通り道を確保しましょう。


③圃場の凸凹をなくす
表面水の停滞を防ぐため圃場の凹凸をなくすこと。明きょだけでなく、水が溜まりやすい場所を作らないことが過湿状態の予防になります。
<その他の対策>
①有機物を施用する
土壌の亀裂やすき間をつくるには微生物やミミズなどの土壌動物が大きく関係します。その餌となる有機物を増やし、土壌生物の密度向上につなげます。
②深根性生物の作付け
転換畑では、子実とうもろこしを1〜2回作付けすることで、土壌物理性が改善した事例もあります。