
この記事は2025年10月14日に掲載された情報となります。
JAきたそらち
農福連携により、農業の人手不足と障がい者の就労機会拡大を図っているJAきたそらち。職員が生産者と福祉事業所の間に立ち、連携を実現させています。
2年間JA施設で試験導入ノウハウを積んで生産者へ
JAきたそらちでは、2018年から2年間、JAの施設で農福連携を試験的に導入。福祉事業所の職員との連携や作業可能範囲などを確認した上で、生産現場に本格導入しています。
JA組合員へは、実際に農福連携に取り組んでいる方による講演会を開催。興味を持った方へ更に詳しく説明し、花き・野菜など5戸の生産者が手を挙げました。
提携の福祉事業所は、滝川市にある就労継続支援A型事業所(※1)と深川市にある就労継続支援B型事業所(※2)の各1件です。
※1.一般企業での雇用が困難だが雇用契約に基づく就労が可能な人が対象。
※2.一般企業や雇用契約に基づく就労が困難な人が対象。

「できる人ができることを」細やかなマッチングがカギ
就労にあたり、生産者と福祉事業所のマッチングから就業後のフォローまでをJAの担当者がコーディネート。
生産者と福祉事業所にヒアリングを行い、可能な仕事内容・場所・作業時間・トイレ・休憩所・送迎条件など細部をすり合わせ。
作業計画は年間を通じてシフト化し、欠勤時などの細かい調整はLINEを活用してこまめに行うことで、生産者側の不安解消に努めています。
生産者からは「繁忙期の労力確保に役立っている」、福祉事業所からは「地域で働けてありがたい」と評判も上々。JAきたそらちでは、今後も多様な方々への就労支援を積極的に進める予定です。

JAきたそらち
農業振興部 営農企画課 主査 高桑 陵子さん
青果部 青果課 課長 川本 雄太さん
JAきたそらちの高桑さんと川本さんに農副連携を実施するポイントについてお聞きしました。
POINT01 最初はやさしい作業から始めステップアップ
ダンボール組み立て・収穫補助・畜産の飼料袋詰めなど、作業内容は利用される方、一人ひとりの特性や希望に合わせて調整しています。習熟度や希望に応じて、徐々に作業の幅を広げる場合もあります。
POINT02 現場作業以外も視野に入れると仕事の幅が広がる
花を束ねる作業や、製品の袋詰め作業など、福祉事業所内で行いやすい作業が大量にある場合は、事業所内での作業を希望する利用者にも依頼できます。
POINT03 事業所職員が同行し、作業をフォロー
作業時には事業所職員が付き添います。就労中の利用者への必要に応じたサポートの他、作業指示なども事業所職員を通して行います。
POINT04 関係者による総括と意見交換が翌年に生かされる
農閑期に年1回、JAと生産者・福祉事業所・行政で懇談会を行い、1年間の作業実績やスケジュール・賃金などについて意見交換をしています。良かった点や改善点をまとめて次年度に生かす大切な機会です。
POINT05 声掛けの工夫で良好な関係を築く
農福連携技術支援者(※3)の認定も受けている高桑さんが、コミュニケーションの工夫や配慮についてアドバイスしています。また、事業所のイベントに積極的に参加して交流も図っており、互いに理解を深めながら良い関係を築いています。
※3.農林水産省が認定する資格で、農作業の工程分析や障がい者の理解に基づいた指導スキルを習得し、農業者、就労支援施設の職員、障がい者本人など、農福連携を現場で実践する関係者に対して具体的なアドバイスを行う専門人材。