この記事は2025年3月10日に掲載された情報となります。
石崎 憲一さん JAとまこまい広域
高い品質を実現し、維持し続ける「達人」の取り組みには営農のヒントがあります。今回は令和5年度北海道優良米生産出荷共励会の移植栽培部門・個人の部で最優秀賞を受賞したむかわ町穂別の石崎憲㆒さんにお話しを伺いました。
一等米100%、タンパク値も6.8%以下を維持し「ゆめぴりか良質米生産出荷表彰」で9年連続表彰を受け、10年連続も期待される「ゆめぴりかの匠」石崎さん。
令和5年度北海道優良米生産出荷共励会でも移植栽培部門・個人の部(うるち米2ha以上)で最優秀賞に輝きました。品質と食味に優れたお米をつくる秘訣とは。
地域6戸で共同育苗
ゆめぴりか、ななつぼし、おぼろづきの3品種を栽培しています。どんな工夫をしているのかと聞かれるんですけど、特段変わったことはしていません。皆さんと同じことをやってるだけ。
もともと穂別を流れる川が蛇紋岩流域で、水流にケイ酸質が多く含まれているという地域特性もあると思います。あとは乾く圃場をつくること、適期を外さないこと、3年ごとに土壌分析をして肥料を過剰に与えないこと。
そういう基本を徹底的にやるしかない。完璧にはできなくても、基本技術を励行するよう努力しています。

ここ穂別のニサナイ地区は、昔から育苗も田植えも共同でやっていたそうです。当初は20戸くらいあったようですが、今は6戸。田植えは各自でやるようになりましたが、共同育苗は今も続けています。
少ない苗箱で大面積をカバーできるよう苗は稚苗を選択。移植が5月15日にスタートして25日までに終わるよう逆算して、4回に分けて播種します。計画通りにできるのは共同だから。
温度の管理に気を使うので、当番制にして、みんなの意識が揃うよう、普段からお互いに声掛けしながらやっています。
乾く田んぼをつくるために
初期生育を促すため、肥料は側条を若干多くして全層4.5側条5.5の割合に調整しています。秋まで肥料が効いているとタンパク値が高くなると考えるからです。あと、酸化鉄の入ったケイ酸質資材(スーパーミネカル)を3月初めに融雪を兼ねて必ず散布しています。
水管理は父が担当していますが、ワキ※が出た場合、水を落として中干しすることもあります。秋に稲わらをすき込めず、春にすき込んで㆒回も圃場が乾かないうちに代掻きをした田んぼはワキがひどくて生育が緩慢になりますね。
なので、乾く田んぼをつくるために、収穫後、早い段階でサブソイラで心土破砕。そのあとスタブルカルチで稲わらを表層で粗くしています。ただし、これらは水はけのいい圃場でやるから効果があるんだと思います。うちも暗きょ工事をした圃場は稲の生育が変わり、収量が上がったので、やっぱり透排水性が大事なんだと実感しています。
4年前から長男が、2年前から次男が就農して、さつまいもやアスパラガスなどそれぞれ好きな作物に取り組んでいます(写真2)。自分は米づくりが好きなので、これからも米を主とした経営を続けていきたいです。復田したい圃場があるので、今年レベラーも用意しました。今後、面積が更に増えるようであれば、乾田直播も考えなければならないと思っています。
※土壌還元が急激に進み発生するガス等のこと


良質米麦生産の有益な情報を発信
令和6年度稲作麦作総合改善研修会

北海道農産協会では、令和7年3月6日(木)に「令和6年度稲作麦作総合改善研修会」を開催します。
米麦各共励会の最優秀賞者の授賞式を行い、更に米麦の各最優秀賞者による優良事例発表や特別講演など、令和7年産良質米麦生産における有益な情報を発信いたします。
参加費無料なので、ぜひご参加ください!
第62回(令和6年度)北海道優良米生産出荷共励会の開催内容はこちらのリンクをご覧ください。>>リンク先へ