この記事は2024年5月7日に掲載された情報となります。
ホクレン 営農支援センター スマート農業推進課
ホクレンRTKシステムを活用した高精度な作業を行う際に、知っておいてほしいことを紹介します。
高精度な測位に欠かせないホクレンRTKシステム
トラクター作業にGNSSガイダンスと自動操舵システムを利用することで、未熟練者でも正確な直進走行が可能となり、疲労も軽減されます。この時に欠かせないのがRTK補正信号です。衛星からの信号だけでは難しい高精度な測位(現在位置の測定)を、ホクレンRTKシステムが補正信号を利用者の端末に配信することで可能にしています(図1)。
システムは、インターネット通信によるクラウドサービスを利用しているため、停電など、サーバー本体の物理的な要因による障害発生リスクが低く、基地局のトラブルが発生した場合にも自動で他の基地局へ切り替えるので、農作業への影響を少なくできます。
このシステムは、ホクレン、JA、そして利用者の相互理解で成り立っています。
ホクレンはサーバー運営管理、JAは基地局設営・管理、利用者は携帯端末やガイダンス機器の設定など、それぞれが役割を果たして運用し、2019年4月からの運用開始以来、多くの方にご利用いただいています(2024年2月末現在、道内69JA、6514ID、56基地局〜図2、3)。
RTKシステム利用時の留意事項
利用者に多くのメリットを提供するホクレンRTKシステムですが、その効果を最大限に得るには、いくつかのポイントに注意が必要です。
❶衛星信号の受信環境に影響される場合があります
利用箇所上空の衛星配置状況が悪かったり(数が少ない、位置が低いなど)、付近に障害物がある場合は、ガイダンスシステムの測位精度が低下したり、利用できない場合があります。
❷通信環境とアプリケーション更新を確認しましょう
インターネット接続が不安定な場所での利用や、スマホのシステム・アプリケーションの更新が行われていない場合、IDを重複して利用している場合は、アプリケーションの動作に影響を及ぼすことがあります。
❸機械の設定を確認するなど、状態を良好に保つようにしましょう
トラクターや自動操舵システムの設定が適切に行われてなかったり、機械の状態が最良でない場合(Bluetooth受信機の設定や機器不良、タイヤ空気圧の状態、フロントウェイトの未設置や不足による前後荷重のアンバランス、作業機振れ止めの状況など)、自動操舵の機能を十分に発揮できないことがあります。
これらの点を事前にチェックし、適切な対応を行うことで、ホクレンRTKシステムを最大限に活用できます。農作業繁忙期の前にこれら留意事項をご確認いただき、営農にお役立てください。