この記事は2023年10月1日に掲載された情報となります。
馬鈴しょでん粉の需要は高く、安定供給が望まれていますが、でん粉原料用馬鈴しょの作付面積は近年減少傾向です。需給がひっ迫する中、作付け拡大が求められています。
ホクレン農産部 でん粉課
作付面積が減少する中、不足する馬鈴しょでん粉
北海道産馬鈴しょでん粉は食品用を中心に糖化用、化工用、工業用など幅広いニーズがあり(図1)、さまざまな産業において重要な役割を担っています。
一方、北海道の馬鈴しょや、そのうちのでん粉原料用馬鈴しょ(写真1)の作付面積は近年減少傾向です(図2)。
そのため、2018年で17万t近くあった馬鈴しょでん粉の生産量が、特にここ数年は天候の影響も受け、15万t程度と低い水準で推移。繰越在庫も大幅に減り、需要を十分満たせない状況となっています(表1)。
馬鈴しょでん粉への高いニーズ
馬鈴しょでん粉は、他のでん粉に比べ糊化(こか)する温度が低く、でん粉粒が大きいため保水性に優れた特徴があります。揚げ物や料理のとろみ、練り製品のつなぎ、インスタントスープなどによく使用されます。国産である安心感やブランド力、無添加なことから、道産馬鈴しょでん粉へのニーズは高く、安定供給が求められています。
今回お話を伺った王子コーンスターチ株式会社北海道工場は、北海道唯一の異性化糖製造工場です(写真2)。でん粉を酵素によって分解したぶどう糖と、ぶどう糖を更に酵素で異性化した果糖を主成分とした液体の甘味料「異性化糖」を生産しています。その原料は、全て道産馬鈴しょでん粉です(写真3)。
同工場で製造された製品は、主に道内の飲料メーカーや製パン工場、お菓子メーカーなどで使われていますが、「馬鈴しょでん粉は、コーンスターチと比べ、でん粉中のたんぱく質や脂質含量が少ないので、よりすっきりとした味わいになっていると思います」と工場長の髙橋さんはいいます。
道内で使用される異性化糖の7〜8割は同社北海道工場の製品で、年間約2万tの異性化糖が出荷されています。この原料として約1万7000t 馬鈴しょでん粉が使われていますが、これは原料馬鈴しょ換算で9万t弱に相当します。
「近年はどの産地も品質が安定していて、生産者はじめ産地の皆さんが、不純物の少ない精製度の高いでん粉づくりに努力されていることをありがたく感じています。生産者の高齢化が進む中で、馬鈴しょの生産は大変だということをお聞きしていますが、当工場は北海道産馬鈴しょでん粉が無いと工場稼働ができません。堅実な需要が期待されるので、これからも安定的な生産をお願いしたいです」
現状のまま、需要に十分応じられない状況が続くと、ユーザーは輸入でん粉など代替原料への切り替えや、道産馬鈴しょでん粉を使わない商品開発を進めることも考えられます。安定した需要にしっかりと応えていけるよう、生産量を増やしていくことが必要になっています。
でん粉原料用馬鈴しょの生産拡大が求められています
でん粉原料用馬鈴しょ生産の支援に向け、ホクレンでは、生産者手取りを上げるべく、馬鈴しょでん粉の販売単価の値上げ実施に加え、でん粉原料用馬鈴しょ栽培の優良事例の共有化や、試験実施による栽培技術の確立などに取り組むことを計画しています。
生産者の皆さんには、でん粉原料用馬鈴しょの作付け拡大にぜひご協力をお願いします。