雑草の影響と除草技術 

除草技術の未来

除草技術の未来

負担が大きい除草作業。より効率的に除草するために技術は進化しています。ここでは雑草の影響と技術の進化についてお伝えします。

この記事は2021年12月1日に掲載された情報となります。

ホクレン肥料農薬部 技術普及課
丹羽 昌信 技師補

ホクレン肥料農薬部 技術普及課
丹羽 昌信 技師補

雑草が農作物に与える影響

雑草を生えたままにするとどうなるでしょう。雑草が土壌中の養分や水分を奪い、農作物の収量は減少します。稲の場合で最大41%、玉ねぎや人参で30%の減収という調査結果もあります。

収量だけでなく品質も低下します。水田周辺の雑草にカメムシがすみつき、その後、水田に飛び込み斑点米を引き起こすようなケースもあります。また、雑草が機械にからまって収穫作業の邪魔になる場合もあります。そのほか農作物だけでなく、家畜の病気や人間の花粉症の原因になる場合も。

これらの被害を防ぐためにも雑草はしっかり防除しなければなりません。除草剤やカルチベーターだけではなく、耕うんや防草シートなど、いろいろな方法を組み合わせて、雑草を効率よく防除しましょう(図1)。

防除の手段
図1. 防除の手段

未来はロボットによる除草も

草取りは重労働で、1949年には10a当たりの除草作業に50時間もかかっていました。それが今では10a当たり1時間程度に短縮(図2)。その劇的な省力化に寄与したのが除草剤です。

10a当たり除草労働時間(水稲栽培の場合)
図2. 10a当たり除草労働時間(水稲栽培の場合)

近年、稲作では水口に薬剤をセットするだけで水田全面に拡散できる水口施用や、豆つぶ剤やF‌G剤といった省力化製剤が新たに登場し、更なる省力化が進んでいます。今後は畑においても手間のかからない防除の技術開発が進んでいくはずです。

実際に今ホクレンが農薬メーカーや通信会社と取り組んでいるのが、除草剤のピンポイント防除の試験です(写真1)。牧草地を上空からドローンで撮影しA‌I(人工知能)で画像を解析。雑草の位置情報と農薬散布の機械を連動させ、雑草を狙い撃ちします。圃場全体に散布するのとは違い水や除草剤の使用量を抑えられるため、持続可能な農業の実現という観点からも期待されています。

セクションコントロールスプレーヤーによるピンポイント防除試験の様子
写真1. セクションコントロールスプレーヤーによるピンポイント防除試験の様子

海外ではカメラおよびAIで雑草を認識し、雑草の生育部分のみに除草剤を散布する無人ロボットの開発が進んでいます。ホクレン肥料農薬部ではこうした最新技術の紹介から除草剤の上手な使い方などベーシックな情報まで、今後、動画などで分かりやすくお伝えしていく予定です。ぜひ参考にしてください。