訓子府実証農場 農産技術課では4月上旬以降、秋播き小麦の追肥作業を実施し、コスト削減と収量確保を目的とした「可変施肥」の実証試験を行いました。前号、てん菜基肥に続き「可変施肥」の紹介です。
「可変施肥」とは、衛星データから算出される植物の生育状況のデータ(植生指数NDVI または 葉面積指数LAI等)を活用し、生育に応じて肥料を振り分ける技術です。
本実証では、生育が悪い箇所には肥料を多く施用し、生育回復と収量確保を図り、生育が良い箇所には肥料を少なく施用し、肥料削減によるコスト削減を目指します。
具体的には、可変追肥の時期や使用するデータを変え、
①慣行可変(幼穂形成期・止葉期の2回を可変追肥:NDVI使用)
②試験1(起生期・幼穂形成期・止葉期の3回とも可変追肥:NDVI使用)
③試験2(幼穂形成期・止葉期の2回を可変追肥:LAI等使用)
の3試験区を設け、
④定量(生育状況に関わらず3回とも一定量を追肥)
と比較した追肥量削減効果や収量性などを検証します。
NDVI:植生の多少・活性度を表す指標。近赤外と可視光の赤との差を両者の合計で割った値。
LAI:葉の多少を示す指数。植物の葉の総面積をその土地の面積で割った値。
今年度の施肥結果では、
②試験1が最も追肥量の削減割合が高く
④定量に比べ約4割の削減となりました(可変追肥量の実績参照)。
今後は、試験区ごとの収量調査を行い、施肥量削減効果とともに収量性を確認します。