この記事は2018年6月1日に掲載された情報となります。
生産現場で必要とされる技術は、分野や地域によって違います。北海道で有効な新技術はなにか、今後どのような可能性があるのか、ホクレン農総研の木谷祐也主査に聞きました。
ホクレン農業総合研究所 営農支援センター
営農技術課 主査 木谷 祐也さん
技術革新はまだまだこれから
ひとくちにスマート農業といっても、センサーなどを使って必要な情報を収集する「センシング」から、農薬散布ドローン、生産管理システム、地理情報システムの活用まで、さまざまな分野があります(図1)。
なかでも近年、大きな注目を集めているのがトラクターの自動化。ホクレン農総研の木谷祐也主査は「自動化の三段階」をこう解説します。
「第一段階はガイダンスシステムと自動操舵補助装置を装着したトラクター。直線走行時のステアリング操作を自動でアシストしてくれます。第二段階は運転を完全自動化したロボットトラクター。自分の乗るトラクターを操作しながら、もう一台の無人トラクターを監視する有人無人協調作業も実証実験が始まっています。
最終の第三段階は遠隔監視。将来的に事務所の中でモニターを見ながら、複数台のトラクターを同時に操作できる時代がくるといわれています」
自動操舵は急速に普及中
第一段階の自動操舵トラクターは、実際、生産現場で急速に普及しています(図2)。
特にRTK基地局をインターネット回線で利用するサービスが始まった平成26年からは、ガイダンスシステムと自動操舵補助装置の出荷台数が急上昇。平成28年までの道内の累計出荷台数は、ガイダンスで7千台、自動操舵で約3千台にのぼっています。
単純に農家戸数(約3万7千戸)で割り返すと、普及率はガイダンスで約19%、自動操舵で約8%。利用者がどんどん増えていることが分かります。
木谷主査は「やみくもにICT技術を勧めるわけではありませんが、農家戸数が減少し一戸あたりの耕作面積が増え続けている北海道では、自動操舵の導入効果は大きい。精度や作業効率、コストを検証しながら分かりやすく情報発信していきたい」と話します。